077  咎人の罪Ⅶ

「痛い……」



 二葉は、頭を押さえながらしょんぼりする。



「当たり前だ。生きている人間が痛みを感じないわけがないだろ! 生きている限り痛みはつきものだ!」



「ユーヤみたいな屁理屈を言うんだね。マーキュリーは……」



「あいつと同じにするな。ああ、もう! それにしてもいつまでこんな所にいるつもりだ!」



「合図があるまで……。さっきも一花に言った」



 ちらっと、未だに苛々している一花を見て、二葉は平常心でいる様な態度をしている。



 だが、その内心は自分も行動したのは事実だ。



 ――――遅い……。もうそろそろ始まってもいいはずなのに……。



 ――――なんだか、嫌な予感がする……。



 二葉はそう感じた。



 それを見ていたマーキュリーは、二葉を見ながら裕也達のいる教会を睨みつけた。



 ――――裕也、早めに終わらせて来い。



 その目の瞳の奥には一体何が映っているのだろうか。






 アルブレヒト教会神の聖域――――



 裕也は鎖に繋がれたまま大人しく祭壇の上で待っていた。



 だが、九時を過ぎてもマーロスと総司の姿が見えない。



「おい、マーロス殿は一体何をしているのだ。君、何か聞いていないのかね?」



 立ち合いに来た軍人の中の一人が三久に訊いた。



「あ、はい。もうすぐ来るとおっしゃっていたのですが……」



 三久は困った顔をしながら二人を待ち続けるが、一向に来る気配が無い。



 すると、扉が開き、茶色のマントを着て、フードをかぶった人間が部屋の中へと入ってきた。



 深くフードをかぶっており、その人物が一体誰なのか、認識できない。



 ――――誰?



 三久は目を凝らしながら一体誰なのかと疑う。



「すまない。少し遅れました。皆さま、大変お待たせしました。さて、儀式の方を始めましょうか。軍人の皆様は中央に集まってもらえますでしょうか?」



 フードをかぶった人物・声はマーロスっぽい人物がグルである軍人を中央の祭壇へと呼び寄せた。



「皆さん、ここ一列に並んでください。今から儀式を行う前の準備をいたします」



「教主殿、一体今から何をするつもりなのですか?」



「それはですねぇ……」

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