079 咎人の罪Ⅸ
総司はそれを見て、祭壇を壊し、錬成陣と魔法陣が構築されている陣を跡形もなく壊した。
× × ×
一週間後――――
アルブレヒト教会事件は、世間に広まらずに軍内で知る物だけで幕を下ろした。
首謀者であるマーロスとウエストシティ軍人数名は、闇の中へと葬られ、彼らがどうなったのかは事件にかかわった人間以外知らない。
もちろん、裕也や三つ子たちもどうなったのか知らないのだ。
あの日、もし、本当に儀式が行われていたらどうなっていたのだろうか。
あの時、総司が殺さなかったらこの街はどうなっていたのだろうか。
考えるだけで不安と同時に安心感が出てくる。
あれから一週間、裕也は泊まっている宿舎の一部屋を借りて、一人、部屋の中に閉じこもっていた。
ベットの上で仰向けになりながら天井を一日中見つめていた。
心の中が空っぽになったような感覚だった。
自分は何のためにこの事件を引き受けたのかその意味を探していた。
確かに総司がやったことは許されることはないが、それで多くの人が助けられたのは事実である。
だが、裕也は例え、悪人であろうとも殺すことは出来なかった。
結局、何のために戦ったのか分からなくなったのだ。
「…………」
視線を窓に向けると、太陽の光が部屋の中に射し込んでいた。
引きこもりとはいえ、これからどうすればいいのかも見つかっていない。
三つ子が泊まっている部屋――――
「それであいつはいつまで部屋に閉じこもっているのよ! あれから一週間もたっているのよ!」
一花は地団駄踏みながら怒っていた。
「ねぇ、三久。一体あの時何があったの? 私達にやっぱり教えられない事が……」
二葉が心配そうに三久を見つめる。
三久は椅子に座っており、作り笑いをするが笑えなかった。
「まぁ、……二人が聞いたらどうなるか分かりません。私の口からはどうとも……」
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