051 ウエストシティの内戦XIV
「それにしてもなんでこんな格好で堂々と教会に乗り込もうとするの? すぐに捕まるんじゃないの?」
「今日は週に一度の教会の開放日らしい。だから結構な人が拝みにあの教会に集まる。俺達はそんな信者たちのふりをしながら潜り込むんだよ。本当はこっちの計画は使いたくは無かったんだけどな……」
裕也達は教会の前に立つと、信者に紛れ込んで建物の中へと入っていく。
「二葉、離れないように俺の手を握っていろ」
「うん……」
そう言われて裕也の手を握る。
人ごみの中で手を離さないようにしっかりと互いに握りしめ、ゆっくりと教会内に入ると、講堂に入る前の大広間で列を抜け出して、近くの関係者を見つける。
「すみません。トイレの場所はどこでしょうか? 連れに物がトイレに行きたいと言っていまして……」
「なっ!」
二葉は急に頬を赤らめる。
「ああ、それだったらこの先をまっすぐ行ってその突き当りを右に曲がれば女子トイレがある。すぐに済ませて来いよ。教主様の有難いお話があるんだからな」
「分かりました。ほら、すぐに行くぞ」
裕也はニヤッと笑いながらそのままトイレの方向に向かって歩き出す。
急いで角を曲がり、女子トイレに入る。
「はぁ、はぁ、はぁ、何とか潜り込めたようだな」
「ユーヤ、なんで私が辱めを受けないといけないの?」
「俺がトイレ行きたいって言ったら警戒されるのが普通だろ?」
「それでもデリカシー無さすぎ。普通はこういうことは言わないから……」
「すまなかった。でも、そのおかげでこの建物内に入れたのは事実だろ? それに十時までの残り時間は約二、三十分。ギリギリではあるが十分に作戦行動できる範囲だ」
腕時計を見ながら自信満々に言う。
女子トイレには個室が六つほど置いてあり、しっかりと隅々まできれいに掃除されている。
「ねぇ、ここが女子トイレだっていう事に自覚ある?」
二葉がいきなり質問を問い投げた。
「え? あ、ああ。もちろん知っている。それがどうした?」
「だったらなんでユーヤまで女子トイレに入っているの?」
「なんでって、そりゃあ隠れる場所がここ以外にないから……」
「はぁ……やっぱ、もういい……」
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