050 ウエストシティの内戦XIII
「そんな事をするくらいならこの街のギルドの人に手伝ってもらうって事は無いの?」
「嫌だ。この街のギルドの人間の中には奴がいるかもしれない」
「あ……」
裕也の言葉に二葉は何か思い出したかのように声を漏らす。
「一応、この依頼はあいつがこの街の出身だっていう事もあって断ろうと思っていたんだよ。お前だったらあいつの性格を知っているだろ?」
「うん。私、あの人少し苦手……」
二葉は苦笑いをしながら、教会に近いマンホールの穴を裕也の後を追って梯子を上り始める。
現在地は教会から南東に約百メートルの建物間にある細い道のマンホールの穴の深さ五メートルの場所にいる。
地上付近まで上ると、マンホールの蓋を少し開け、三六〇度全方位に人がいないかすみやかにチェックする。
通りに出れば人が行き交っているのが見えるが、この場所なら十分に見つからずに脱出することができるだろう。蓋を横において、先に裕也から地上に上がる。その後、手を握って二葉もようやく地上に出た。
「さて、近くの店で着替えるぞ」
そう言って、近くの男女の服が揃っている店に入ると、二人はそれぞれ自分に似合う服を選びだす。
裕也は地味な服を選び、二葉は下のストッキングとショートパンツはそのままで服だけを変え、頭に帽子をかぶる。
「お前、そう言う地味な格好好きだよな」
「ユーヤも同じようなものじゃない」
「俺はこういう柄が一番目立たずに派手じゃないのが好きなんだよ」
「私も似たようなもんだよ」
二人は服を買った後、そのまま試着したまま店を出る。
上を見上げると、すぐ目の前に大きな協会が見えてくるのだ。
「あれがアルブレヒト教会か……。結構大きいな」
「そうだね。軽く二十メートルはあるんじゃないの?」
「かもな……。それにしてもこんなに大ごとになる前だったらギルドの人間も俺達のようにこの近くで行動しているんだと思うんだけどな……」
「本当にそれらしき人が見つからないのが不思議」
「もしくはこの事を全く知らなかったりして……」
裕也達は教会の方へと歩き、大通りに出ると、そこから一直線に教会への道が開く。
その大通りを裕也達はフードもかぶらずに堂々と街を歩いていた。
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