023  三つ子の奴隷Ⅹ

 それから日が暮れるまで本を読み、それから数週間、数か月の時間をセントラル付近で過ごし、錬金術、魔法を習得していった。



 そして――――




     ×     ×     ×




 三年後――――



 セントラルの西に位置する街、ウエストシティ



「痛いよぉおおおおお!」



 街の中で泣き叫ぶ小さな男の子がいた。



「大丈夫ですか? すぐに直しますから泣き止んでください」



 と、フードをかぶった少女が優しく声をかけた。



 男の怪我をしている部分を見る。膝の部分に転んだ後の代償があり、そこから血が溢れ流れてきている。



「これくらいの怪我ですか……。それではいきますよ。動かないで下さないね」



「う、うん……」



 風土をかぶった少女は、錬成陣を地面に描き、両手を合わせて、そのまま錬成陣に重ねる。



 すると、陣は赤い稲妻を走らせながら光り、男の子の傷がみるみる治っていく。



 血も体内に戻り、さっきまで開いていた傷口が修復された。



「これでもう大丈夫ですよ。立ち上がってみてください」



 男の子を立ち上がらせると、微笑んだ。



「おーい、早くしないと置いて行っちゃうよ!」



 遠くの方から彼女の仲間らしき人物が声をかけてくる。



「はーい。じゃあね、体は大事にするんですよ」



 そう言い残して、少女は中ものいる方へと走っていった。



 西暦X10年――――



 運命が動き出す。それぞれ、彼彼女達は、自分たちの目的のためにこの世界で動き始める。



 それは何が待っているのか分からない。だから、三年の月日が流れて行った。



「じゃあ、次の街に行くか」



 少年は少女が追い付くと、微笑んで次の街へと歩いていく。

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