巨人と小人

 ある所に、小人さんと巨人さんが仲良く暮らしている町がありました。


 「こんにちは、巨人さん。今日も大きいね」

「おう、小人の坊主! そういうお前は今日もちっちゃいなあ!」


 「巨人さんは何でそんなに大きくなっちゃったの?」

「んー? なんでだろうなあ! 特に何もしてないんだが、気づいたらこんなに大きくなってやがったんだあ!」


 「そっかあ、僕は大きい巨人さんが羨ましいよ」

「んー? 何でだあ?」


 「だって、そんなに大きかったら遠くまで見えるし、何かに躓く心配も無いでしょ?」

「なんだあ! そんな事かあ! やめとけやめとけ、大きいなんて不便でしか無いぞ! 気を抜くとお前らを踏み潰しちまいそうになるし、服や住むところを用意するのも大変だあ!」


 「そうなの?」

「ああ、そうだあ! だから、大きくなるのは体じゃなくて心の方にしろ!」


 「心?」

「そう、心だあ! 他人に優しく、他人を思いやれる、そんな心の大きな小人になれ! 体が大きい俺と、心が大きいお前、2人揃えば完璧だろぉ!」


 「……うん、分かった! 僕、心が大きい小人になるよ!」

「おう! その意気だあ!」


 小人さんと巨人さんは、今日も仲良しでした。

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