実験ルビ小説

決闘

　森の中、開けた空間で向かい合う2人。

　壮年の男（1人目）。東洋人（和の装い）。左腰に刀（業物の打刀）。自然体（達人の気迫）。

　年若い男（2人目）。西洋人（ガンマン風）。右腿に銃（リボルバー）。自然体（鋭い眼光）。

　男の意地と意地のぶつかり合い（刀と銃のどちらが最強か）。

　どちらからとも無く、構える（半身になって腰を落とし、武器に右手を添える）。

　風が吹き抜ける（木々の枝葉が擦れる音）。葉音が止む（訪れる静寂）。

　一瞬の間。

　男がホルスターから引き金を引きながら銃を引き抜き、腰の位置で構えて、撃鉄を弾（トリプル・ファニング・ショット）くように3回起こす。放たれた弾丸は3発（パァン）。相手の正中線の急所（股間・鳩尾・眉間）へと正確に飛んでいく。

　対して、男は全身を使い、鞘から抜刀する。居合い切り（迎撃の神髄）。相手の間合い（銃の射程距離）で先手を取られてもなお、生存する為の技術。その全てをもって抜き放たれた一太刀（斬撃と擦過音）。足下に落ちる3組の割れた弾丸。武器は互いに抜き身（残心）のまま。

　訪れる静寂。

　どちらからとも無く、武器を（敵意から敬意へ）仕舞う。男たちは歩み寄り、お互いに右手を差し伸べて（中々やるじゃねえか。）握手を交わす（お前もな。）。

　2人はそのまま町の酒場へと繰り出（結ばれる厚い友情）した。