告白

 ……あ、ちょっと、あの公園で休んでいかね? いい感じにベンチあるしさ。

 

 ふう。


 さっきの映画、面白かったな! 今度続編やるみたいだからずげえぷ〜〜〜〜ん……楽しみだわ。

 え、また一緒に見に行ってくれるの! マジ? めちゃくちゃぷ〜〜ん……嬉しい! え、嬉しくなさそうな顔してる? いやこれは違うんだ。さっきからちょっと蚊がうっとおしくて……。ほんとに嬉しいんだって! 君の方から誘ってくれるぷ〜〜ん……なんて夢みたいだよ! いや、違う、確かに迷惑そうな顔してたかもしれないけど、これは君に誘われたから迷惑ってわけじゃ決してなくてぷ〜〜〜〜ん……、飛んでる蚊に対して迷惑って思ってるだけだから! 

 え、蚊なんて飛んでない? いや飛んでるぷーーん……よ! ほら、今飛んでぷーーん……た! ほら、今も! 聞こえなかった? ええ? じゃあずっと俺の周りだけ飛んでるってこと? くそっ、この迷惑な奴め……。

 迷惑なら帰るねって、いや君のことじゃないから! 俺の周りをぷ〜ん……飛んでる蚊に対してだから! いや、飛んでるんだって! 君の周りには飛んでないかもしれないけど、俺の周ぷ〜ん……りにはぷんぷん飛んでるぷ〜ん……んだって! 

 ああ、帰らないで! 君のことぷ〜ん……迷惑と思ったことなんぷ〜ん……て一度もないから! むしろぷ〜ん……、僕は、君のことがぷ〜ん…………


 ああ、もう、本当にうっとおしいからどっか行ってくれ! 俺は今日彼女に告白するつもりでここに来てるんだ! 邪魔しないでどっか行ってくれよ! お前らのせいで雰囲気もクソも無いじゃないか! 頼むから俺に告白させてくれよ!


 はぁ、はぁ、……あ。


 あ、いや、ごめん、こんな勢いで告白するつもりなんて無かったんだけど、うん、まあ、そういう事です、はい。その、あの、こんな雰囲気で言うのもあれなんですけど、……好きです、付き合ってください。


 

 翌日、彼はムヒが手放せませんでした。

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