君が歌うまで告白するのをやめない
昨日は彼女の地雷を思い切り踏み抜いてしまったらしい。恐ろしくもあったが、彼女の新たな一面を知る事ができ、ますます好きになった。
この溢れる想いをどうやって彼女に伝えようか。言葉だけでは足りない気がする。
そうだ、想いをメロディに乗せよう。そうすれば、ただの言葉よりも何倍も想いが載るだろう。
●
「今日は歌を作ってきた」
「へえ。先輩、作曲とかできたんですね」
「いや、今回初めて作った」
「え?」
「何ならギターだって昨日買ったばかりで弾いたこともなかった」
「うわあ……。というか、そんな状態でよく作曲なんてできましたね」
「案外なんとかなったぞ」
「そうですか。それで、そのギターはどうしたんですか?」
「受付で、『中で歌われると他の方の迷惑になるので』と言われて取り上げられた」
「受付の人、超ファインプレーですね」
「そんなこともあろうかと一応CDにも焼いて来たんだが」
「結構です。要りません。持って帰ってください」
その日、商店街のアーケードで泣きながら弾き語りをする男がいると話題になった。彼の歌は見る者の心を揺さぶり、僅かに用意されていたCDは全て完売したらしい。
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