第22話



『水車小屋』から近い場所で

野ざらしにされたガイコツが一体。



ルーナは

ガイコツの横にしゃがんで


「ガルおじさん・・・?」と

呼びかけて

頭蓋骨を撫でて


何か

話し掛けている。



オレは

少し離れて

その様子を見守っていた。




しばらくすると

フラリと立ち上がり


そのまま歩き出す。



オレは

一定の距離を開けながら


ルーナの後を

ついて行く。



ルーナは

ガイコツを見つけると

かたわらにしゃがみ


名前を呼びかけて

頭蓋骨を撫でて


何か

話し掛けていた。







「パパ。ママ」



広い場所で


ルーナは

重なったガイコツに

そう呼びかけた。



『ヤバい』


そう思い

駆け寄ろうとしたが


「待って」という

女性の声が聞こえて


足も指も

声すらも

出すことが出来なくなった。




「約束・・・守ってくれたんだね」




その

絞り出した

感情の消えた声で



オレは

無理矢理


気力で


根性で



『見えない拘束』から抜け出し




ルーナに駆け寄って


後ろから

強く抱きしめた。





「・・・カミュ」




なんでかな?


かなしいのにね


なみだが出てこないの


ヘンだよね・・・




その言葉に


オレは

何も言えなかった。



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