第21話



広場に向かう途中で

見覚えのある服を着た

ガイコツが

倒れていた。



「ガルおじさん・・・?」



おじさんが

いつも

自慢してた短剣が


ボロボロの状態で

そばに

落ちていた。




「『ガルシア』なんて女みたいな名前じゃなく『ガルおじさん』と呼んでくれ」



おじさんは

いつも

私に言っていた。





パパが

「内緒だぞ」と言って

教えてくれたのは


ガルおじさんが生まれる前に

『死んだパパ』が


「生まれる子供は女の子だ」と言って


『ガルシア』と

付けていたんだって。




エルお兄ちゃんは

面白がって

「ガルシアおじさん」って呼んでたけど


私は「ガルおじさん」って呼んでた。



おじさんは

いつも

短剣を見せてくれて


「良い子のルーナは、俺が必ず守ってやる」って言ってくれた。



その後は必ず


ママから

「ルーナの前で短剣なんか出さないでちょうだい!危ないでしょ!」


ケガしたらどうするの!

って怒られてた。



パパとエルお兄ちゃんも

「近くにいるのに、なぜ止めないの!」って

怒られてたっけ。



ガルおじさんと別れて

広場に近づくと


少しずつ

『みんな』が増えていった。



一人ひとりに話しかけて

先に進む。




広場では

『パパとママ』が待っていた。



「パパ。ママ」



重なったガイコツ。



私が

グレイスおばあちゃんに

教えてもらいながら

一人で織り上げた

ママの目と同じ色のストール。



パパの目と同じ色の糸で

織った布から


エルお兄ちゃんが

作ってくれた

羽根付き帽子。



プレゼントしたら

二人とも

喜んでくれて


『村祭り』で

身につけるって


約束してくれた。





「約束・・・守ってくれたんだね」






後ろから

強く抱きしめられた。



「・・・カミュ」




なんでかな?


かなしいのにね


なみだが出てこないの


ヘンだよね・・・


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