第23話




ルーナに手を引かれ


カミュは

広場の中央に立つ

巨木の前にいた。



『偉大な魔法使いの木』


そう呼ばれて

村で崇められてきた巨木だったが


村が焼き討ちにあった時に

この木も燃えたようで


枝葉は焼け落ち

樹皮は黒くすすけていた。



「『ジェシカ』様、眠っちゃったのかなぁ」



木を見上げていたルーナが

ポツリと呟く。



「ジェシカ・・・様?」


「うん。『偉大な魔法使い』」



カミュの問いに

ルーナは頷く。



「村祭りはねー。本当は『ジェシカ様』のお誕生日のお祝いなんだよ」


でもね

ジェシカ様は

『お誕生日』がキライなんだってー。




まるで

ジェシカ本人から

聞いたように話すルーナ。



「・・・さすがに、1,000を越える歳は数えたくないよな」


「そうなの?」


カミュの言葉に首を傾げるルーナ。




早く大きくなりたいルーナには

まだ難しい話だったようだ。



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