第13話




「ルーナ。こんなトコ知らないよ」


来たこともないよ。



この洞窟が

ルーナの村へ

繋がっていると思っていたが


ルーナは

この道を「知らない」という。




・・・知らなくても不思議ではない。



この道は

『村の外』へ通じる道だ。



一部の人物

もしくは大人しか

知らない道かもしれない。



少なくとも

『好奇心旺盛な子供たち』なら

外に出てしまう危険性がある。




『隠れ住んでいる』からこそ


不自由でしかない

『決まりごと』ほど

『守られなくてはならない』




「じゃあ、『成人の儀』をしたら教えてくれたのかなぁ?」


お兄ちゃんは知ってたのかなぁ?



ルーナは

ハチミツを入れた

ホットミルクを飲みながら

首をかしげる。



「かもな」


空いてる手で

ルーナのアタマを撫でてやる。




今はもう

それを知る方法すべはない。




ルーナの村では

『成人』は18歳だという。


王都を含む

この国では15歳だ。


だが

『賢者が王都にいた頃』の成人は

18歳だったらしい。




この国の成人年齢が

18歳から15歳に早まったのは


戦争に駆り出すためだ。



徴兵で駆り出せるのは

『成人』からだ。



魔法の能力が高ければ

魔法使いとなれるが


そうでない者は

『捨て駒』として

最前線で戦わされる。



女性兵士が

弓兵などとして

後方部隊に配属されるようになってから


男性歩兵は

完全に『捨て駒』状態になった。



戦力だった

賢者も

魔法使いも居なくなったこの国は


『人海戦術』で勝ち進み



たくさんの犠牲を出して

この大陸全土を平定した。



戦争が終わっても

『成人は15歳』のままだったのは


働き手が必要だったからだ。





「カミュは『大人』なんだよね?」



ん?

どうした?


ルーナの言いたいことが

よく分からなかった。



「でもルーナの村では『まだ』なんだよ」


だから、カミュも『子供』なの〜。

ルーナと『一緒』だよー。



満面の笑みで言い出したルーナに

「『一緒』か?」と聞くと


「うん!『いっしょー』」と

抱きついてきた。



ルーナは

オレと『一緒』なのが

嬉しいようだ。




オレも

嬉しくなり

笑顔でルーナを抱きしめていた。


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