第56話 本番
「うおっ⁉」
シンジロウさんから放たれた光の眩しさに、俺たちは思わず目を細めた。
その光はすぐに収まったが、周りが見えていなかった一瞬は致命的な時間だ。
目の前にすっとシンジロウさんが現れて、強烈なパンチを腹に食らわせてくる。
「う゛っ!」
「春樹!」
俺は軽く吹き飛び、奥にあるベッドにぶつかることでようやく止まった。
生きていたら致命傷になりかねない一撃だった。
「ったく。力使わずに殴ったくらいで倒れられたらこっちもやりがいがねえんだよ。おいおい、お前はそんな貧弱なやつだったのか? あ?」
「ぐ……」
遠くからシンジロウさんの挑発的な声が聞こえてくるが、今の俺にはただただうめくことしかできない。
「っのやろ……」
夏樹が力を起こそうとしているのが見える。
正直危ないからやめてほしい。
と、その時。
ドドドドドドドドドドドドド……。
巨大地震が来る前のような地鳴りが響いたのだった。
シンジロウ
春樹を吹っ飛ばした。
やりすぎたなとは思う。
が、俺は春樹なら耐えると思っていたのだ。
「お前はそんな貧弱なやつだったのか?」
この言葉はある意味本心だ。
夏樹が力を起こしているのが見える。
が、こいつは力の戦いだったら俺の敵ではないだろう。
今俺が見るべきは星也の動きだ。
まずは軽くけりを入れてから力を起こして……と、そこまで考えた時だった。
ドドドドドドドドドドドドドドド……。
寡婦首に響く地鳴りが聞こえてきた。
俺は心の中だけで舌打ちをする。
まさか、今だというのか。
こんな悪いタイミングの時に始まるというのか。
地鳴りが静まるとともに、四方八方から爆発音が聞こえてくる。
「ああ、マジで始まりやがった……」
これから、始まる。
フェイトディザスタアが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます