第54話 夜

 夜が訪れた。

 ちらりと空を見ると、真っ暗な空にたくさんの星が散りばめられていた。

 普段なら呑気に綺麗、なんて思っているのだろう。

 だが今はその星空が怖くてたまらない。

 黒い空に、輝く星に吸い込まれてしまうのではないかと思えてしまうのだ。

 そして、この恐怖の理由はなにより、シンジロウさんがこちらに向かってくる時間が近づいているのを星空が示しているからであろう。

 俺の隣では夏樹がすやすやと眠っている。

 ついでに言うと加恋もまだ眠っている。

「んあ……」

 夏樹と同様、俺の右隣で寝ていた星也が目を覚ました。

「あれ……春樹君、眠れないの?」

「まあね」

「大丈夫だよ、きっと助かるから……今は寝た方がいいよ……」

 星也はまるで寝言のようにそういうと、また眠りに落ちていった。

「ふあーあ」

 酸素を求めるように大きなあくびをする。

 確かにごちゃごちゃと考えていないで、今は寝た方が今後の為になるかもしれない。

 俺はゆっくりと瞼を閉じた。

 そこから眠るまではさして時間はかからなかった。

 身体から疲れがにじみ出てきて、あっという間に俺を夢の世界に連れていく。

 フェイトディザスタアももう近い。

 これから先、いつ休めるかわからない。

 今くらいはゆっくりしていた方がいいのだ。

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