第8話 銀髪さんのデマと罰

1.銀髪禁止令


「銀髪は今日から禁止!」


ある日の放課後の教室。

高圧的な物言いで、生徒会長は、織枝に迫った。


「えぇっ!? そんなの聞いてない!」


「校内法で決まったわ。

 さあ、銀髪なんてやめて黒髪に戻しなさい!」


「これは地毛です!」


「地毛かどうかは関係ないわ!

 とにかく、髪の毛に色がついているのはダメなの!

 さあ、黒髪にしなさい! 私が染めてあげるわ!」


「いやーーーー!」


生徒会長は、織枝を捕まえると、織枝の美しい銀髪を引っ張り、

自分のもとへ引き込もうとする。


織枝は必死にもがいたが、生徒会長の腕はいつもより力強く、

離れてくれない。

織枝は助けを求めた。


「誰か! 誰か、助けてー!」


織枝は大声をあげて、助けを求めた。

そして返ってきた反応は……


「織枝さん、大丈夫ですか? 織枝さん!」


織枝が目を覚ますと、すぐ横には級長がいた。


「はっ! ここは授業中の教室……。

 もしかして私、居眠りしてた??

 しかも、変な夢まで見ちゃった……?」


銀髪禁止令は夢だった。

織枝は、すべて夢だったことに気づき、激しく赤面した。


「あ、あの……わたし……」


織枝は、級長に顔を向けたまま、そのまま言葉が途切れてしまった。

恥ずかしすぎて、軽くパニックに陥ってるようだった。


「織枝さん、大丈夫ですか? うーん、体調が優れないみたいですね。

 先生! 私は織枝さんを保健室に連れていきます」


級長はそう言って、織枝を連れ出したのだった。


「織枝さん、ここに座りましょう」


学校の中庭にあるベンチに織枝を座らせた。

おだやかな日差しが、ふたりを包む。


「ここは、私と織枝さんしかいません。

 恥ずかしがることはないですよ。

 どうかしましたか?」


「ありがとう。

 私、居眠りしたうえに、教室で絶叫を……。

 怖くて教室に入れないかも」


「夢を?」


「うん。ええっと……」


織枝は、周辺を見回し、人がいないことを確認して、

発言を続けた。


「ええっと……。笑わないで聞いてね。

 夢の中の話だけど。

 生徒会長が銀髪禁止令を出して、

 私の髪を黒くするよう、迫ってきたの」


「まぁ……」


級長は目を見開いて、少し驚いたような反応をした。


「校内法で銀髪は禁止するって言って、

 生徒会長が、私を無理やり……。

 夢の中だけど、ちょっと怖かった」


「……」


「校内法のことはよくわからないけど……。

 変な校内法があったら嫌かも」


「安心してください。

 校内法は、めちゃくちゃな法を作らないようになっていますよ」


「そうなの?」


「校内法の上位版に『校内憲法』というものがあります。

 『校内憲法』は、校内法がやっていい範囲を決めています。

 さっきの銀髪禁止令は、校内憲法に抵触するような内容なので、

 校内法として成立しません」


「校内憲法……?

 そんなのがあるの?」


「はい。

 『校内法は、学生の自由を尊重し、保障すること』とあります。

 髪型や髪の色の強制的な統一は、それに抵触します」


「へぇ~、そうなんだ。

 そういえば、この学校、私服で登校している人もいるけど……」


「はい。それも、校内憲法の効果です。

 制服・私服の選択ができます。

 私服の浸透はまだまだこれからなので、制服の人のほうが多いですね」


「そうなんだ」


「学校制服の自由は、ここ1~2年でようやく認められた権利なのです」


「制服は着なくてもいいんだね」


「そうです。

 真面目で保守的な人はずっと制服を着てますけど、

 単に、私服を選ぶのがめんどうくさい、と思う人も、制服をずっと着ますね」


「私も私服で来ようかな?

 ……制服が多いなかではちょっと勇気がいるかも」


「残念ながら、少数派は、奇異な目で見られるのも事実です。

 織枝さん。

 知っていますか?

 たとえ法が無くても、『みんながやらないから』という理由だけで

 自由な行動は封じられてしまうことを。

 織枝さんの銀髪は、目立ちます。

 それを好意的に受け取る人もいれば、

 そうでない人もいます」


「そうでない人……」


「あ、私は違いますよ! 織枝さんの銀髪はスキです!」


好きと言われて、織枝は赤面した。


「たとえ銀髪禁止令なんて出さなくても、

 周囲が同じ髪色だらけだと、奇異の目で見られ、

 いじめられ、

 その結果、織枝さんは空気を読んで

 自ら黒く塗ることになってしまう……。

 そういうこともありえるということです。

 そうならないよう、髪の色や髪型の自由は、

 もっと積極的に推し進めていきたいですね」


「わたし、無意識に見た目のコンプレックスを感じていたのかも……。

 だから、あんな夢を見てしまったのかな」


「織枝さん、自信をもってください。

 大丈夫です。

 何かあっても、私が織枝さんを守り、弁護します!」


級長は、無意識に織枝の手をにぎる。


「級長……。

 そう言ってくれてうれしい。

 私、自分の髪の色を気にしすぎていたのかなぁ」


「織枝さんの髪、とてもきれいです!」


「あ、あの、手……もういいかな?」


「あっ! すいません! つい……」


級長は手を引っ込める。


「さ、さて! どうやって教室に戻りましょうかね~」


級長は気まずそうな顔をして、強引に話題を変える。



2.部活動禁止令?


級長と織枝が教室に戻ると、なにやら騒がしいことが起きていた。

「部活動が」「部活動が」とみんな言っている。


「あれ? 教室が騒がしいですね……」


「ほんとだ。なんだろうね?」


織枝は、携帯端末で、校内SNSを開く。

騒動の正体がわかった。


「ぶ、部活動、禁止……!?」


校内SNSのあちこちで、「部活動禁止」という文字が躍っていた。


「生徒会が部活動を禁止する校内法を作ろうとしている」

「生徒会は、部活動を学生生活の時間の浪費だと非難している」

SNSの書き込みはだいたいそんな内容のものばかりだった。


「ありえません……。

 校内憲法に反する内容ですし、生徒会が、

 部活動禁止なんていう校内法を作るわけないです。

 それに、SNSをよく見てください。

 生徒会アカウントも、第二生徒会アカウントも、

 部活動禁止なんて一切言及していません」


「つまり……みんなが騒いでるのは、本当のことではないってこと?」


「『部活動禁止』はデマでしょう。

 いったい誰がこんな情報を……」


織枝と級長が困惑していると、全校放送が流れてきた。


「粛正委員会です。

 部活動禁止という情報が飛び交っていますが、

 生徒会・第二生徒会ともに、否定しています。

 虚偽の情報にご注意ください」


粛正委員会の放送のあと、SNSからは、嘘のように、部活動禁止の情報が消えていった。


「部活動紹介イベント中止から時間も経ってないですし、

 『部活動禁止の校内法』のデマは真実味があったんでしょう。

 真実味があったから、一気に偽の情報が出回った。

 うまいことデマを回したものです。あきれたやり方ですが……」


級長は、眼鏡をくいっと上げて、「やれやれ」といったポーズをとる。


「でも、誰がいったいこんなこと……」


「わかりません。

 でも、愉快犯でしょうね。

 妙な校内法の噂が出回れば、

 生徒会を困らせることになりますし、

 第二生徒会にもあらぬ疑いをかけることができます」


「第二生徒会は、部活動紹介中止について、

 かなり大きなデモをしていたからね。

 疑われるかもね」


「そうです。

 近いうちに、生徒会は、第二生徒会に容疑をかけるでしょうね」


「えっ……そうなんだ」


「そして、第二生徒会も、『生徒会こそ怪しい』と反撃のように

 逆に容疑をかける。

 これは、この学校でいつも繰り返される光景だそうです」


「うわぁ……なんか泥沼だね」


「泥沼どころか、底なし沼です」


「そ、底なし沼……。終わりがなさそうだね」


「底なし沼ではありますが、それを浄化することができるんですよ」


「浄化?」


「『浄化』というのはただの比喩ですが……。

 生徒会と第二生徒会の対立があまりに激しく、停滞を生む場合は、

 粛正委員会が、生徒会と第二生徒会を『粛正』する権利をもっています」


「それはそれでなんか怖い気も…」


「むやみやたらと粛正はできませんよ。

 一定のルールにもとづいて粛正します。

 あと、『粛正』は喧嘩両成敗ですね。

 生徒会・第二生徒会のどちらか一方だけが仮に悪いとしても

 『職務不徹底』『職務不徹底是正の不徹底』とみなされ、

 両方処罰されます」


「両方処罰……。

 粛正委員会の権力すごいね」


「粛正委員会にも弱点はあるんですよ。

 粛正委員会の会長は、生徒会が任命権をもっています。

 粛正委員会の副会長は、第二生徒会が任命権をもっています。

 わざと無能な人を送り込んで、粛正委員会をめちゃくちゃにできるわけです」


「ひえっ……なにそれ」


「人間は何するかわからないですからね。

 無能を送り込んだはずが、心変わりして、粛正委員会内で力をつけて

 生徒会・第二生徒会に復讐をする場合も……過去にあったんだそうな」


織枝は、級長の言葉にただただ絶句するしかなかった。



3.相互不信


次郎は、トイレに向かう途中、携帯端末をいじりながら歩いていた。

その様子を見て、「むっ!」とした顔の粛正委員が一人、すぐ近くにいた。


「そこ! 携帯端末をいじりながら歩かない!」


「うわっ、すいません。

 ……と、東堂さん」


次郎のすぐ横には、「粛正委員」の腕章をつけた、東堂桐乃が立っていた。

怒った顔で、次郎を威嚇する。


「ん? どうして私の名前を知っているの?

 そうか。たしかあなたは、以前見かけた1年5組の……」


「右城次郎です」


「ああ、そうだった。

 あの生意気な級長の横にいた男性学生か。

 まったく……ただでさえ忙しいのに、

 注意なんてさせないで欲しいね」


「忙しい? 何かあったんですか」


「あなたには関係のないことだよ」


「教えてくださいよ」


「……すでに新聞部で公表になっているから、まあ、話してやってもいいか。

 部活動禁止のデマが校内に広がったこと、おぼえている?

 生徒会から調査の依頼があり、これから仕事にとりかかるところなんだよ」


「へー、誰がやったんですかね」


「生徒会は第二生徒会を疑っている。

 第二生徒会を中心に調べろとのことだよ。

 だけど、第二生徒会も黙ってはいない。

 逆に生徒会のほうを調べろと言ってきた。

 だから、粛正委員会は両方の調査を行うつもりだよ」


「い、忙しそうですね……」


「生徒会も第二生徒会も、負けん気が強くて困る。

 あまりに両者の言い分がひどいようなら、『粛正』しないとね」


「大変そうですね、じゃあ俺はこれで……」


「ちょっと待って」


「な、なんでしょうか」


「級長は、今でも怒っているのか?

 その……花見で私が注意したことを」


「いや……そんなことはないですけど。

 たぶん。一言も口にしてないですし」


「そう。だったらいいけど……。

 もし、級長に会ったら、伝えてくれないか?

 私が謝っていたと」


「いいですけど、直接桐乃さんから言ったほうが

 いいんじゃないですか?」


「だってそういうの恥ずかしいし……」


桐乃は顔を赤らめた。


桐乃は、真面目でカタい性格が災いしてか、

仲直りは得意ではないようだ。


次郎はそれを察してか、

「じゃあ、俺の方から言っておきますよ」

と答えた。


「あ、ありがとう、ええっと……次郎君で良かったかな?

 よろしく頼みます。では、私はこれで」


東堂桐乃はそこまで言うと、足早に去っていった。


4.公開討論会


その後、

粛正委員会による生徒会・第二生徒会の調査が行われたが、

目立った証拠の発見などもなく、

いたずらに時間だけが過ぎていった。


「部活動禁止法のデマは、生徒会も第二生徒会も関与してないのでは?」

という声も多々あり、粛正委員会は、捜査の手を広げていった。


だが、一向に犯人は見つからなかったため、

粛正委員会は捜査を打ち切ることにした。

粛正委員会長は、生徒会長に報告を行った。


「誰がどういう意図で、

 部活動禁止法などというデマを広げたのかは知らないが、

 粛正委員会の捜査能力では限界がある。

 ここは、ひとつ、学生たちにデマを広めないよう注意喚起することで終わりにしたい」


「それはいいけれど……。

 でもこのままじゃまずいわね。

 何度もこういうデマが出てきたら、みんな困るわよ」


「粛正委員会としては、校内法に則って調査し、注意喚起することしかできない。

 デマを未然に防ぎたいのなら、

 新しい校内法でも作って、ルールをみんなに知らしめるしかない」


「ふーん。

 じゃあ校内法で規制をかけましょうか。

 デマを広めたら罰を与えるようにしましょう」


「それでは、第二生徒会としっかり話し合ってくれ」


粛正委員会長はそのまま退室した。

残された生徒会長は、横にいる副生徒会長に話しかける。


「どう? 第二生徒会とは話し合いは開けそうなの?」


「まあ、多少は大丈夫そうです」


「多少はって……。

 まあいいわ。討論会をセッティングしちゃいましょう」


「……第二生徒会は殺気だっているみたいですね。

 私たち生徒会が、容疑をかけたことが、よほど気に食わなかったようです」


「こっちには粛正委員会がついているんだし平気平気」


「武力闘争はダメですよ。というか、粛正委員会は中立です」


「ここまでこじれてしまっては、話し合いでカタがつくかは心配よ」


「それはそうですが……。とにかく穏便にいかないと」


「そうだわ。生徒会と第二生徒会の公開討論会にしましょう。

 多くの学生が見学しに来れば、

 第二生徒会もむやみに乱暴な真似はしないでしょうし。

 万が一、第二生徒会が討論会をボイコットなんてしたら、

 笑いものになるだけだし、私たちに有利なはずよ」


「それはよろしいのですが。

 生徒会の討論能力が低いと一気にダメージが出ますよ。

 多くの学生に見られるので」


「そんなもの承知の上よ。

 だって生徒会も第二生徒会も、似たり寄ったりだもの」


「そ、その表現は適切なのでしょうか……」


「とにかく、公開討論会の準備をすすめるわよ」




5.公開討論会2



次郎は、午後の最後の授業を終え、背伸びしていた。

教科書を鞄にしまおうとすると、級長に声をかけられる。


「次郎さん。きょうの放課後、時間ありますか?」


級長が誘ってくるなんて珍しい。

いったい何の誘いだろうか?

次郎は少し間をおいて、言葉を返す。


「ん? なんだ? ……仕事か?」


級長が持ちかけてくる話なんていうのは、

だいたい仕事(クラス委員会の仕事)に違いなかった。


「仕事じゃありません。……お遊びですよ」


「……!?」


予想外の返答に、次郎は言葉を失った。

放課後にお遊び?

……級長と俺が?

次郎はいろいろなことを考えてしまったが、

「いやそんなはずはない」と気を取り直し、

再度言葉を返す。


「お、お遊び……? どこに行くんだ?」


次郎は、さして級長など好みのタイプではなかったが、

誘われてやはり悪い気はしなかったので、

困惑気味ながらも、確認を行う。


だが級長からは、さらに予想外の返答がかえってきた。


「生徒会の公開討論会を見学しに行くんですよ」


「それお遊びなの!?」

思わず、次郎は突っ込んでしまう。


「少なくとも、委員の仕事ではないでしょう。

 織枝さんも一緒に行くって約束してますし、

 次郎さんも、ほら、一緒に見学に行きましょう」


「見学してもいいけど。

 生徒会の公開討論会って……いったい何話すんだ?」


「先日、部活動禁止法などという根拠のないデマが

 校内SNSで出回っていたということは、

 次郎さんも承知のことかと思います。

 今後、そういったデマが広がらないように、

 生徒会と第二生徒会で話し合うのだそうです。

 場合によっては、デマ規制のために校内法を作るとも言われています」


「へぇ。おおごとになってきたな……」


「校内SNSのデマは、以前からずっと問題になってました。

 討論会が開かれるのが遅すぎるくらいです」


「まあ、そりゃそうかもしれないけどよ。

 公開討論会なんて、ずいぶん派手なことやるんだなぁって」


「公開討論会は、

 生徒会と第二生徒会の働きぶりを、

 学生たちの前にアピールする機会でもあります。

 多くの場合、学生の注目度の高いテーマを話し合うことが多いですね。

 新聞部も来て、記事を書いていきますよ」


「新聞部も来るのか」


次郎は、陽子の顔を思い浮かべた。

そういえば、あいつ、新聞部に入ったって言ってたな。

公開討論会にも姿を見せるのだろうか。

次郎は、そんなことを考えながら、鞄を担ぎ上げると、

「じゃあ、そろそろ討論会に向かおうか」

と言い、級長や織枝と一緒に討論会の会場に向かった。


討論会の会場は、

生徒会室近くの、大会議室と呼ばれる場所だった。


大会議室の重厚なドアを開けると、

赤と茶色を基調とした、荘厳な雰囲気のある会場がそこにあった。


開場したばかりなのか、まだ人影もまばらだ。

案内役と思わしき学生が、次郎たちに話しかけてくる。


「見学者ですね? 私は案内をつとめる粛正委員会の……あっ!」


「あっ!」


次郎たちと、その粛正委員会員は、互いに顔を見て驚く。


「き、桐乃さん……」


東堂桐乃だった。


「あ、あなたたち、どうしてこんなところに……」


口をあんぐりさせる。

級長は気まずそうな顔をしたが、それは桐乃も同じだった。

ふたりとも、先週花見で口論になっていたからだ。


学生だけでの花見を注意する桐乃。

それに反対する級長。

あのとき、生徒会長が介入し、

結果はうやむやになって終わってしまった。


「生徒会と第二生徒会の討論が見たいからですよ。

 いけませんか?」


級長は答える。


「そんなの、わかっている。

 ……私は今回、司会と案内役をつとめている。

 奥の席から埋めていってくれ」


桐乃に案内され、奥の見学席に着席する。


「あっ、織枝! 次郎と級長も!」


近くには、陽子も着席している。

横には、新聞部の先輩らしき人もいる。

陽子は何やらメモ帳のようなものを持っており、

おそらく討論会の様子を記録しようとしているのだろう。

いかにも新聞部っぽい出で立ちだった。


「新聞部に入って、初めての仕事が、

 この公開討論会の記録記事!

 はりきってがんばるよ!

 で、織枝たちは何しに来たの?」


陽子は、織枝にまず最初に訊く。


「級長に誘われて……。

 最近起きたデマ事件にかかわることだし、

 まあ、それなりに関心があったからね」


織枝はさらっと答える。


「ふーん。次郎と級長も同じ?」


「そうです」「ああ、そうだ」


そんな感じで、陽子と会話しているうちに、

だんだん人も集まりだし、

生徒会らしき人も、討論席に座りだした。

神妙な顔をしている。

これから真面目な討論が始まるであろう、緊張した雰囲気だ。


「なあ、級長。

 さっき桐乃さんがいたんだけど、

 どうして粛正委員会が、公開討論会で案内役してるんだ?」


「諸説ありますが……。

 粛正委員会は中立であり、審判のような役割をしているからです。

 生徒会と第二生徒会は、対立しあうことが多く、

 それは討論会でも例外ではありません。

 そんな荒れそうな討論会で、司会進行役をしたり、

 案内役をしたり、言うことをきかない学生をしょっぴく。

 それが粛正委員会の役割です」


「なるほど……。

 必要な役割なんだな」


「ええ。粛正委員会は、

 学生を注意するだけの役目ではないのですよ。

 生徒会と第二生徒会を仲裁する役割を持っているのですから。

 おっと。そろそろ始まるみたいですね」


生徒会席と第二生徒会席の間に、

東堂桐乃と他の粛正委員会が割って入る。


「皆さん、これから公開討論会を始めます。

 私は進行役をつとめます、

 生徒粛正委員会の東堂桐乃です」


「議題は、『校内SNSの虚偽情報の規制について』です。

 生徒会と第二生徒会で1時間の討論を行っていただきます。

 議事録は、公正を保つため、粛正委員会の書記にて作成します」


桐乃は、すらすらと進行を行う。


「まず、最初に討論会のルールを申し上げます。

 議題にそった討論を行うこと。

 相手の話は最後まで聞くこと。

 討論は生徒会と第二生徒会交互に行うこと。

 持ち時間以内にしゃべり終えること。

 暴力・ヤジ・職務怠慢を行ってはいけない。

 ルールを著しく破った者、再三の注意を受け入れない者は、

 校内法に基づき、粛正委員会の『粛正』を受けてもらいます」


桐乃は、見学者席側にも、顔を向ける。


「見学者にもお伝えします。

 大声で騒いだり、討論を妨害するような行為はかたく禁じております。

 途中退席したい場合は、近くの粛正委員会員に伝えてください」


「『粛正』って何するんだ…」

「強制退場、討論会出場停止、生徒会クビ、停学、退学など

 豊富なプランがあります」

「何それ怖い」


次郎と級長は、ボソボソとつぶやきあう。


「それではまず生徒会からの論説をお願いします」


桐乃は、生徒会長にバトンタッチをする。


「皆様、きょうはお集りいただきありがとうございます。

 生徒会長の小牧七夏です」


生徒会長は自らの名を名乗り、言葉を続ける。


「さて、生徒会としては、

 校内SNSの虚偽情報の拡散を大変遺憾に思っており、

 規制をかける考えでいます。

 具体的には、学生に注意喚起を促したうえで、

 それでも虚偽情報を広めるのであれば、罰則を付与します。以上」


「第二生徒会の睦月秋秀です。

 生徒会の規制論に反論したい。

 校内SNSは虚偽情報が多い。

 それは俺も認めるところだ。

 だが、大事なのは、規制することではない。

 どんなに規制をかけて、罰を与えても、

 人は同じ失敗を繰り返す。何度も何度もだ。

 失敗を繰り返さないためには……

 教育が必要です。

 俺は、学生に、情報リテラシーのような教育を

 今より強化して教えるべきだと考えている。

 教育が行き届けば、嘘を嘘と見抜ける。

 ぜひ生徒会には、教育路線もあるということを

 知っていただきたい。以上」


「教育は時間がかかりすぎて、私はダメだと思います。

 まずは規制強化と罰則強化。

 そのほうが何もやらないよりはマシだと考えます。以上」


「規制と罰則は手っ取り早くできるが、

 方法としては最悪だ。

 何度も言うように、人間は同じ間違いを繰り返す。

 一度作った規制と罰則は、同じ間違いを繰り返すたびに

 強まっていくだけで、根本解決はしない。以上」


「理想を言えば、教育は必要かもしれませんが……。

 でも、それには多大なお金と時間がかかります。

 誰が教えるのか? どうやって呼ぶのか?

 その時間はどうやって確保するのか?

 私たちが時間を割かないといけない案件は他にも多くあります。

 SNSの虚偽情報だけ注力して予算を割くことはできないのですよ。

 それに情報リテラシー教育ならすでにやっていますし、

 いまさら強化するまでもない……。

 教育をしていても、おかしな現象が起こるのだから、規制やむなしです」


「虚偽情報が出回るのは、教育が駄目だからではない。

 今の教育内容では、十分ではないからだ。

 教育内容の充実を求める。

 規制・罰則は、人間の自由を縛るだけで、何ももたらさない。

 法というものは、縛る・罰を与える、だけではない。

 法というのは、もっと人間の生き方を自由にするべきものだ。

 あと、SNSの悪用ばかりに目を向けており、規制規制と騒ぐのは短絡的だ。

 SNSで出回る虚偽情報は、ほんの少しに過ぎない。

 災害時にSNSが役立ったということもあるし、

 むしろSNSは有効に使って人のほうが多い」


「そのほんの少しの虚偽情報が人心を惑わし、

 最悪な結果に結びつく。

 昔、虚偽情報を信じた人たちが、

 憎悪にかられて殺人事件をおかした。

 殺された人は無実だった。

 そのニュースは秋秀会長も知っているはずです。

 最悪の結果とは、そういうことにもなりうるということです。

 自由な世界はよいものですが、無秩序はダメです」



ということで、

規制・罰則論と規制反対論・教育論で対立し、討論は白熱していった。


討論会は、粛正委員会が「時間になりましたので終わりです」

とジャッジしたところでようやく終わった。

生徒会長や第二生徒会長は、まだ話したりないような感じだったが、

討論会の時間が終わってしまったので、強制終了となった。


なお、この様子は、後日校内放送されるとのことだ。


「織枝さん、次郎さん、どうでしたか? 討論会は」


「どうと言われても……」

「よくわかんなかったです」


級長はずっこけた。


「その……もっといろいろ感想がありませんでしたか」


「生徒会長はやたら規制にこだわってた感じがする」

「睦月会長は、規制に反対してた」

織枝と次郎は口々に言った。


「そうです。その論点が重要なのです。

 規制をするか、規制をしないか。

 極端なこと言えば、そのどちらかになります」


「どっちも正しいように聞こえる。

 俺は選べないな」


「私も」


次郎と織枝は淡泊な反応を示す。


「選ばないといけないんですよ。

 討論会を何回か繰り返したあと、

 最終的には、学生全員の投票で決まります。

 次郎さんも織枝さんも、投票行動をしないといけません」


「マジかよ…」


「だから、討論会の様子は、学生新聞や、

 校内SNS・校内放送で公表されます。

 学生みんなの投票の参考情報にするために。

 ……正直言うと、

 全部詳細に読み込む人はなかなかいませんが。

 そんな状況ではありますが、

 最終的には学生が投票して決めます」


「投票……私、判断できるかな?

 どっちも正しそうに聞こえることを、

 どうやってひとつに決めるんだろう?」


織枝は不安げな表情を見せる。


「デマを規制したり罰則するのはいいけども、

 とばっちりをくらうのは嫌だな。

 どうせ粛正委員会がビシビシしばいてくるんだと思うけど、

 ああいうのうざったいんだよなぁ。

 いちいち校内SNSで発言したことに難癖つけられたら、

 校内SNSなんて見る気も起きなくなるぞ」


「そうだね。

 いちいちうるさく言ってくるのは、私も嫌かも……。

 人をだまそうとしてわざとデマを広げるのはダメだけど、

 勘違いで話したことが広まることもあるよね?

 勘違いとデマをひとくくりにするのって、

 なんだろう……怖いよね」


「そこも問題ですね。

 意図してデマを作って広げたか。

 ただの勘違いが拡散された結果、デマ扱いされたか。

 結果を見れば、どちらも悪いことですが、

 悪質性は全然違いますね。

 いずれにせよ……今後の議論を見守りましょう」



5.投票!


このあと、討論会は引き続き何度か開かれた。

生徒会と第二生徒会では、主張が異なり、ずっと対立していた。

両者一致の合意が形成される流れが見いだせそうになかった。


そんな状況の中、ついに、投票の時間が訪れた。


「えー、クラスのみなさん。

 きょうは、30分ほど授業を中断し『投票』の時間に割り当てます。

 今話題になっている、校内SNSの虚偽情報について規制する・しないを、

 皆さんの投票で決めてもらいます」


級長は、クラス全員に向かって、そう告げた。

本来の授業は止めて、30分ほどを『投票』という時間に使うようだった。


次郎は、討論会の様子や、SNSで話されている内容を追っていたが、

今でも決めかねていた。

次郎は、やや『規制しない』寄りの考えではあったが、

虚偽情報(デマ)がふりまく有害性については、

次郎もそれなりに認識していた。


次郎は、討論会で話された、昔の事例を思い出す。

殺人犯でないのに、デマのせいで殺人犯扱いされ、

ネットで個人情報を暴露された挙句、人生を棒に振った。

デマを作った人、デマを広めた人は、

つかまらなかったし、罰せられなかった。

とても悲惨な事例だった。

そんなことは果たして許されるのだろうか?


正直なところ「多少の規制ならいいのではないか?」という気持ちもあった。

次郎の心は揺れていた。


織枝もまた、決めかねていた。

デマは許されないことだ。

でも、どこまでがデマなのだろうか?

適用の範囲によっては、

なんでもかんでもデマになる。


織枝には苦い思い出があった。

織枝は、かつて、大きな災害が発生した時に、

被災した人を見かけて、

ネットで救助を呼びかけたことがある。

しかし、それをデマ扱いする人が多くいて、

救助が遅れたことがある。

災害時にはデマが起きやすい。

だからデマ扱いされたという背景もあったが、

織枝にとっては理不尽な体験だった。

もし、デマを糾弾する勢いが強すぎて、

真実や事実がすべてつぶされたら、

とても怖いことだと、織枝は思っていた。


一方、真剣に考えていない者も、クラス内にはいた。


「ねーねー、きゅーちょー。

 投票のやつ、鉛筆ころがして決めていい?」

「ダメです! ちゃんと考えて!」

一之瀬茉奈は級長に怒られていた。

茉奈だけではない。

適当なやり方で投票を決めようとする者も、

少なくはなかった。


学生全員に、投票の義務がある。

だから投票の時間をもうけている。

しかし、全員が全員、真面目に投票するわけではない。

茉奈のように、鉛筆を転がして決めようとする者もいる。


級長はそれが気に食わなかったが、

強制的な投票を、全員が全員、

真面目にやるわけではないことも理解していた。

級長の口からため息が出る。

クラスの少なくない人数が、

そういう決め方をしかねない雰囲気だったからだ。


このクラスではないが、

あえて投票を棄権するという剛の者もいるという。

強制的な全員投票ではあるが、それをあえて拒否する人間がいる。

ある意味意志の強い、変わり者だ。


しかし何のために、学生に投票を任せているのか。

適当に投票する人たちも多いなかで、その意義はあるのか。

級長は、クラス内の投票の意識をもっと高めなければと考えるのだった。


「とにかく、鉛筆サイコロで決めるのはやめましょう」

「秋秀会長かっこいいから、第二生徒会の案に投票しようかな?」

「そんなことで投票を決めないでください!」

級長は怒りのあまり、茉奈を壁際に追い詰めて壁ドンする。

血管が顔に浮き出る。

「級長こわーい……」

茉奈は、級長の壁ドンにドン引きしていた。


「だって、校内SNSがどうとかって言われても

 私、校内SNSなんてそんなに使わないし、

 デマがどうとかの話なんてどうでもいいよ」


茉奈の偽らざる本音が出る。

級長は、はっとした。

そうだった。

茉奈みたいに、校内SNSをあまり利用しない人にとっては

たいした問題じゃないし、興味がないのだと。


一方、級長は、校内SNSの常連だった。

毎日のように、常に誰かと意見の応酬を行い、論破していた。

それはさておき、級長は、

校内の情報をほぼすべて校内SNSから入手していたため、

SNSのデマについてはかなり困っていた。


デマに困っていたとはいえ、

級長は規制論者というわけでもなかった。

学生向けに、自主的に注意喚起をするなどの行動くらいはしていたが、

それ以上のことを行おうという気にはなれなかった。

規制をやりすぎると、自由が損なわれるからだ。

級長はそれを知っていた。


だが、茉奈のように、興味の対象外である場合は、

規制とか自由とかどうでもいい、ということになってしまう。


そういう人に、どうやって伝えて、わかってもらうか。

級長には、まだそれができそうになかった。


投票という行為は、

自分の意志で行うように見えるが、

自分の意志を持っていない人には、

かぎりなく面倒な代物だ。

どこに投票していいのか、それを選ぶことすら億劫だ。

億劫な投票。自発的な意思はいったいどこにあるのだろうか?


真面目な人が選挙の投票を呼び掛けても

大衆が反応しないように、

大衆がアイドルへの投票を呼び掛けても、

真面目な人は反応が薄いものだ。

選ぶ基準がない、興味がない。

投票することが世の中のため。

そう言われても困る。

だって、本当に興味がないのだから…。


茉奈の言いたいことはおそらくそういうことである。


級長は、茉奈のことはいったん忘れ、

クラス全員に投票を進めてもらうことにした。


「クラスの皆さん、自分の携帯端末に、

 投票用アプリは入っていますね?

 これを開いて、今回の投票を行うようにしてください」


級長の言葉に従って、

次郎と織枝は、投票用アプリを開く。

「虚偽情報の規制について」という項目をタップして

捜査を進めていく。


下記の選択肢が示される。


校内SNSの虚偽情報について――


1.規制する・罰を与える(生徒会案)

2.規制しない・教育を進める(第二生徒会案)


「うわーなにこれ、迷う」

「人間に投票するわけじゃないんだね…」

クラスの人々から、そういった声が上がる。


「この学校で行われる投票は……

 生徒会と第二生徒会が出した『案』に対しての

 投票になります。

 生徒会と第二生徒会が討論し、

 出てきた案をおもに2つにとりまとめて、

 学生の皆さんに投票してもらう方式です。

 投票結果に対して、法案を作成し、施行します」


級長が説明し、クラスの人々は、耳を傾ける。


「これから30分以内に投票してください。

 どちらかひとつに……」


ふたたび教室中が沈黙につつまれる。

全員の目が、携帯端末の画面に向けられる。

あっさり投票を終えた人もいれば、

そうでない人もいる。

そうでない人は、画面を見たまま、じっくり考えていて、

動きがかたまっている。


自分の一票が、学校全体の動きを決めてしまうかもしれない。

そう思うと、指が動かないのであった。


あっさり投票を終えた人もいる。

その人たちは、ずっと前から決めていた。

自分なりの価値観を持っていたため、

すぐに決めることができた。

または、茉奈みたいに、テキトーに決めていた人もいる。


織枝と次郎は、まだ迷っていた。

だが、やがて自分たちの意志を決めると、

それを一票に投じた。


投票の時間30分は、長いようで、短く、

そしてついに終了をむかえた。


結果発表はすぐに行われた。


画面には、

「規制する 45%」

「規制しない 55%」

と表示されている。


「ああっ! 規制しない派の勝利か!」


クラスの誰かが、驚いたように声を発する。 


「いいえ。この投票は不成立です」


級長は冷静に答える。


「不成立? どういうことだ」


次郎は、級長に問う。


「僅差だからです。

 ……この学校の投票結果は、

 10パーセント以内の差を『僅差投票』とし無効とします。

 投票アプリの画面を見てください」


「あっ……。『僅差投票により投票不成立。現状維持です』と表示されてるよ」


織枝が、携帯端末の画面を見て、驚いたように言う。


「なんで?

 規制しない派がたしかにリードしているはずなのに」


「この投票方法の理論によると、

 人間の心の問題にぶちあたります」


「人間の心の問題?」


「人間の心は、日々、必ずぶれます。

 昨日まで『規制しない』派だった人が、

 ちょっとしたきっかけで『規制する』派になることもあります。

 織枝さんも迷いませんでしたか? きょうの投票は」


「うん。迷ったかも」


「迷いますよね。

 では、なぜ迷うのか?

 それは、その日の気分が影響するかもしれないし、

 投票直前に発生した事件のニュースに左右されることもあります。

 たった10パーセント以内の差しかないのですよ。

 明日やれば規制派がリードしてるかもしれませんよ?」


「それは……そうかもしれないね」


「この学校の投票は、僅差結果を無効とみなします。

 たいして差が無い僅差結果は、

 『投票を迷っている人が多い』というふうに考えられます。

 迷っている人が多いまま、

 『僅差だけど決着がついた』

 と無理やり法案作成を強行すれば、必ず迷走します。

 反対している人も少なくないからです。

 結果、反対派に足を引っ張られ、とん挫します」

 

「じゃあ、どれくらい差がつけば、投票成立するの?」


「60対40です。

 これくらいの差があれば、勝利となります。

 ですが、投票直前に大きな事件やニュースが出た場合、

 人間の心に大きな影響を及ぼすので、

 その場合は、最低70対30が必要となります」


「へー、投票数が多ければいいってわけじゃないんだね。

 大差をつけないとダメなんだね」


「はい。

 賛成・反対で20パーセント以上の差をつけて、

 ようやく成立となります」


「じゃあ、今回投票不成立になったけど、

 このあと一体どうなるんだ? 何もしないのか?」


次郎は素朴な疑問をぶつける。


「はい。次郎さんの言うとおり、何もしません。

 現状維持です。

 変えることばかりがよいことではありません。

 みんなが迷っているなら、

 ときには立ち止まり、状況を見守り、

 結果を見送ることが大事です。

 みんなが納得しない、みんなが迷っているなかで、

 無理やり法案を作ったり、現状を変えようとすれば、

 必ず失敗します。

 皆さんにも経験はありませんか?

 問題を解決しようとして、

 もがけばもがくほど、深みにはまって、

 最悪な状態になることが……。

 いずれ、皆さんが『変えよう』という気持ちになるまで、

 待ち続けることが、時には大事なのです」


「なるほど……何もしないことが最善ってこともあるんだな。

 納得したよ。さすが級長だ」


「い、いいえ。それほどでも……」


級長は次郎に褒められ、顔を赤くした。


こうして、生徒会案・第二生徒会案は、投票の結果、いずれも不成立となった。


投票からわかったことは、

デマに対する危機感を持っている人も、

デマに対する規制に反感を持っている人も、

同じくらいいるということだった。


こうした結果が、学生たちの心にどれくらい影響を及ぼすのか、

まだ計り知れないものがあった……。



続く

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