第81話 Saltがゴイスー

(何をやってるんじゃろう…アイツ等…)

 薔薇母バラモが目玉焼きにケチャップをかけながら様子を眺めている。

(食べる気なのかの~?)

 美味そうには見えないクラーケン巨大イカあるいはタコと戯れている御一行、楽しそうに見えないこともない。

「ヒトミ!! 塩よ!! 塩をかけなさい!!」

 リーフがバタバタ逃げながらヒトミに塩を所望した。

「なに? 塩? 何塩? 荒塩? 粗挽き塩のこと?」

「コレのことにゃー」

 ミゥがヒトミのポケットから目玉焼きにかけていた食卓塩を奪い取る。

「でかしたミゥ、クラーケンにかけなさい!!」

「了解にゃ!!」

 ビシッと敬礼するミゥ。

 すばやく瓶の蓋を開けクラーケンの目玉にぶっかける。

『しぎゃぁぁぁぁー』

 火に油…もう手が付けられない海洋生物でも滲みたらしい…

「アレ? 小さくならないわ」

 リーフが首を傾げる。

「アンタ、まさか縮むと思ったの?」

山の軟体生物主にナメクジは大概、縮んだわ」

 リーフは真顔である。

「バーカ、バーカ!! 塩で縮むなら、海で生きてる生き物が、こんなにバカデカくなるわけないじゃないバカ!!」

 ヒトミがリーフを怒鳴る。

(何やってんだ…アイツ達…)

 もう助けようとも思わないベンケー。

「素人はコレだから…ヒック…海の男シーマンナメんなよ!!……オゥエ…」

 口を押さえながら、下へ降りていく船長。

 フラフラとした足取り、その体脂肪高めの後姿には不安しか感じないクロウであった。

(ダメかも知れんでござる…)


 甲板ではリーフが暴れ、ヒトミとミゥが逃げ惑う。

 それを少し離れた所から見ているベンケーとクロウを来賓室から眺める薔薇母バラモ

 しばしの時が流れ…

 ズドンッ!!

 船の腹から突き出した大砲が火を吹いた。


 さらに時は流れ…

 甲板に集合した船員が総出クロウとベンケーも手伝うで大工仕事に明け暮れていた…。


「危機は去った…」

 リーフが決め顔で呟いた。

 クリームソーダを飲みながら…

 ブクブクブク…

「にゃははは」

 ミゥはストローを吸わずに吹いていた。

「アンタ…得意の魔法でチャチャッと片づけられないわけ?」

 ヒトミがリーフを睨む。

「バカね…海上で、言うなれば船上で火炎は使えないわ当然でしょ?といった顔で

「あんだろが!! 水魔法とかあんだろうが!!」

「バカね…海洋生物に水が効くとでも思いっきりバカにした顔で?」

「塩かけて撃退しようとしたヤツに言われたかないわ!!」

目の玉に大砲の弾喰らったんじゃ他にも卵の殻と食卓塩1瓶喰らった…しばらく安静じゃろう」

 薔薇母バラモがビーフジャーキーを噛みながらフワフワ浮いている。

「何もしなかったヤツに、まとめられたかないわね」

 リーフがジト目で薔薇母を見る。

「そうよ!! 狐が牛食うんじゃないわよ、ドッグフードでも食ってりゃいいのよ!!」

美味いのかドッグフードニャ?」


 大砲の後ろで二日酔いで倒れている船長が頭痛で目を覚ます頃、船の修理は終わったのであった。

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