三章だけに三度再開 そして伝説へ編 未来へ語られるのか?

第65話 Shoutがゴイスー

「アンタ…ミゥと境遇が似てるわね」

 リーフが羊肉を摘まんで嗅いで顔をしかめる。

「ぐはっ…ぜはぁ~…ぜはぁ~」

 呼吸が荒いヒトミ呪い解放直後、リーフの問いかけなど耳に入って来ない。

「呼んだかニャ?」

 ミゥが羊肉を摘まんで、たき火にかざす。

 尻尾を振りながら、肉をブラブラさせている。

 じっくりと弱火で焼こうとしているようだ。

 両手を地面に着いて、呼吸を整えているヒトミ何度やられても慣れない

「なに?なんか言った?」

「……べつに…大したことじゃないわ」

 リーフはヒトミをジロッと睨んでプイッと、そっぽを向いてしまった。

「な~によ」

 ヒトミが回り込んでリーフの顔を覗きこむ。

「なんでもない…」

「あっそ…じゃあ聞かない」


 ヒトミとミゥ、幼い頃、両親と生き別れて盗賊に育てられた…

(似てるんだ…この2人…)

 似ている境遇のヒトミとミゥ、リーフからの扱いは真逆だが…


 たき火を眺めながら、リーフは考えていた。

 両親の記憶があるって…幸せなのか…ツライのか…

 産まれてすぐに捨てられたリーフには解らない。

 あるだけ幸せなの? 無い方が幸せなの?


 そもそも自分は何者なんだろうか思春期特有の面倒くさい思考


 ボーッと眺めた、たき火の炎。

 ボンヤリとした灯りが視界の焦点をずらしていく…

 ズキッ…

 頭の片隅が一瞬痛む。

(なに?)

 数秒間、コマ落としのように映像が流れる…

(なに…誰…何処…私…此処を知っている…)


 目の前で掌をヒラヒラさせるミゥ。

「起きてるかにゃ?」

「リーフレス・ティ梅可愛メィカァ

 焦点が合わないまま自身の名を呟くリーフに首を傾げるヒトミ。

(どうしたの、この娘…壊れた? 壊れたのかしら?)


 しばらくブツブツと何か呟いているリーフが叫んだ

「聞きたくない!!」

 ゴォウ…リーフの身体から迸る様に魔力が放出され、夜空に立ち上る。

「なによー!!」

 ヒトミがミゥを抱っこして慌ててリーフから離れる。

「おいおい…嬢ちゃんを怒らすなよ姉ちゃん、被害が八つ当たり洒落にならないんだからよー」

 起きたベンケーが呑気に目を擦りながら、事態の5%程をリーフの機嫌が悪そうだ理解した。

「おぁぁおぉぁあぁ…私に…私に指図するなー!!」

(誰もしてないわよ…)

 リーフの叫びに呼応するように、たき火が炎柱となり立ち上る。

「言わんこっちゃない…」

 ベンケーがノソッと起き上がり叫ぶ

ソプロションクールタイプ!!」

 リーフの身体がヌチャンッとヌルヌルに覆われる。

「頭を冷やせ…嬢ちゃん」

 ボタボタとヌルヌルを垂らし引きずりながらベンケーに近づくリーフ。

「なにすのよー!!」

 ベンケーの大きめの顔面を思いっきり遠慮なく、つま先で蹴り飛ばすリーフ。

「ぶほぁ!!」


「やめるでござる、リーフ殿」

 クロウがリーフを抑え込もうとするが…ヌルンッと滑ってリーフの身体がすり抜ける。

「にゃはははは」

 ミゥも混ざって、ヌルヌルした夜がヌメッと明けるのであった。

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