第62話 Synthesisがゴイスー

「そのときは…拙者が…斬り伏せる」

 空の月を見据えたまま、覚悟は出来ているといった顔で答えるクロウ。

(その顔は…出来てネェ顔だよ…)

 黙ってクロウの横顔を不安そうに見ているベンケー。

 無言のまま、二人の連れションは終わった。

「イチチ…」

 ベンケーがクロウの肩を借りて戻ってきた連れションから

「どうしたの?噛まれたの?アナタのソレをヘビに噛まれたのね」

 ヒトミが嬉しそうになぜに嬉しいのか?ベンケーに駆け寄る

「足をムカデに噛まれた…」

「ブハッ」

 思わずリーフが甘酒を吹き出す。

「んにゃ? 熱かったのかにゃ」

 ミゥがリーフの甘酒をフゥフゥする。

「なんだムカデに足を…つまらないわね」

 途端に興味を失ったヒトミがたき火の木をポンッとベンケーに渡す。

ジュッと焼いとけば朝には腫れは引くわよ朝までソレが腫れてりゃ面白いのに……たぶん…」

「雑だなオイ!!」

 ピッと小刀で切って毒を出すクロウ、ベンケーが切られて、しばらく気づかなかったあたりは流石の腕前である。

「ん? そして…こうよ」

 ジュッ

 傷口に火を当てるためらいは、まったくないヒトミ。

「熱っ!!」

 焼けた傷口に

「デリロション…」

 ボソッと唱えるベンケー

「そういう効果もあるの?」

 ヒトミが意外そうに聞く

「あるわけねぇ…軟膏なんて誰も持ってねぇだろうがよ…」

「薬草とか…嘘くさくない?」

 ヒトミの一言にリーフが深く頷く。

「そうよ…草食って傷が治るとか自分は24時間癒され中、草汁塗って瀕死からV字回復とか無いから」

「そういうことだ」

 だからといって、ローションに回復効果は無いという現実は変わらない。

「気分だ、なんか湿布みたいな感じだどうやら冷感タイプらしい


 どうでもいい夜が更けて…

 生臭い匂いでミゥが目を覚ます。

「臭いにゃ…」

 五感は鋭いが寝起きは悪いミゥがボーッとしている。

 猫の目がキュッと獲物を捉え、見開いていく…

「んにゃ!!」

 本能的に飛びかかり、その爪がナニカを斬り裂く。

「ゴァァァァァー」

 地を震わす低い鳴き声に驚き、ヒトミとクロウが飛び起きる。

「なに?」

 ヒトミが周囲を見回す、さすがに夜目は利くようで、いち早くミゥの姿を捉える、と同時にその先の闇に潜む影にも気づいた。

「なに…アレ…?」


 クロウが舌打ちして手を伸ばしたのはショーテルでは無かった、『薄緑うすみどり喋る妖刀というか語る?である。


 ミゥがシュッと戻ってくる、臨戦態勢は崩さない。

(つまり致命傷は与えていない…)

 クロウが居合の構えを取る抜く自信があるのか

「ガルルル…」

 獣の唸り声が少し近づく…

 たき火に照らされたその姿は…

「ライオン…」

 ヒトミが首を傾げる

「山羊…」

 クロウの右手が少し下限に傾く

「ヘビがいるにゃ」

 ミゥが指さす


「キメラね」

 いつの間にか目を覚ましたリーフが後ろで薪を構えているたぶん杖と間違えている

 若干、寝ぼけているようだ。

「ンガーッ…グガーッ…」

 ベンケーは起きやしない…


 後方の2名リーフ&ベンケーをしばし観察してヒトミは思った…

(魔法系…脱落)

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