帰ってきた三章再開 そして伝説へ編 伝説になるのか?

第60話 Considerateがゴイスー

 宴会の翌朝…

 リーフは歯磨きしながら考えていた。

 シャコシャコ…良い音を立てて白い歯を磨く。

(う~ん…どうしてくれようか…)

 隣でポケーッとミゥが歯を磨いている。


「ただ今…」

 ヒトミが緑のレオタード姿で窓から帰宅した。

「お疲れさん、首尾は?」

「上々…疲れました…」

 ズイッと背負った風呂敷をリーフに差し出すヒトミ。

「夜の宴会まで寝させてもらいます」

「はいはい…おやすみなさい…っと、寝る前には勧めないけど歯を磨いた後に食べちゃ意味ないよコレ、疲れた時には甘い物」

 もちろん『ベロターズオリジナルいい仕事をした後も』4個貰って部屋へヨタヨタ歩いて行くかなりお疲れさんのご様子


「さて…次は誰にし・よ・う・か・なっと…」

 部屋でミゥを撫でながら素魔法音スマフォンをスイスイ、スクロールさせているリーフ。

「この大陸には何人『魔王』がいるのかしら全部倒したら幾らになるのかしら?」


 その夜の宴会(第2夜)でリーフが堂々と発表する。

「出発は明日!! 次のターゲットは『魔王 薔薇模バラモ』」

 シュッと素魔法音スマフォンを画面を見せる。

「これは!!」

 クロウが驚く

「そう…やっぱり?」

「間違いない…『しずか』…」

「はい?」

 ヒトミが食べかけたほじくりだしたサザエの壺焼きをボタッと畳に落とす今夜は和室

「狐じゃねぇか…ほとんど…」

 ベンケーが小鉢のモズクをズルズルすすりながら素魔法音スマフォンを覗き込む。

「まぁ、狐に憑りつかれたわけだし…外観から判断するに…残念ながら、大分、狐の色が強いと言わざる得ないわね…言い難いけれど」

 言い難いと言いつつ、割とハッキリ言っちゃったヒトミ。


「クロウの顔を立てて、今回は狐狩りということで」

 リーフが決まりね、といった顔でクロウを見る。

「狐狩りって、なんか貴族みたいね」

 ヒトミが楽しそうに笑う。

「かたじけない…御厚意に甘えるでござる厚意かどうかは解らないが…」

「んじゃあ…とりあえず、クロウの女を無事に救えますように…ハイ、乾杯!!」

「きゃんぱ~い!! にゃははは」

 ベンケーが音頭を取り、乾杯で宴会は進んだのである。


 ベンケーとヒトミが揃って、歯磨きしながらオェ…オェ、ウルサイ朝二日酔いを迎え、顔色が悪いまま出発する御一行。


「まぁアレよね…要するに、クロウが人妻を寝取って、逃避行の最中に女が狐に化けて逃げ去ったと…」

 リーフが多少捻じ曲がった解釈を要約してしまっていた。

「えっ? そういう話なの不倫から逃避行?」

 ヒトミが少々驚いている。

「いや…」

 何か言いかけたクロウ本人を差し置いて

「そうよ!!」

 断言するリーフ。

「旦那が神様ってのがスケールデカいな」

 ベンケーが満足げに頷き感心している。


「あっ? 忘れてた…ベンケー、これ」

 リーフがベンケーに手渡した風呂敷包み割と重い

「なんだ?」

「ん?首…ハデスの」

「なに?」

「アタシが昨夜、盗んできたのよ~、地味に苦労したわよ…まずね…」

 ヒトミがベラベラと苦労話を話しだすもちろん誰も聞いてない


「YOU、埋葬しちゃいなよ」

 リーフがウインクする粋な事をした満足感


「あ…あぁ…ありがとうな…」

 ほんのり香りだした友人の生首を笑顔で渡されたベンケーであった。

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