第58話 Tricksがゴイスー
『王都
「いや~都会に戻ったわ~」
ヒトミが大きく伸びをして荷物を下ろす。
「じゃ、宿取っといて頂戴ね、私、コレ持って金に換えてくるからね」
リーフが上機嫌でハデスの生首を風呂敷で包んでブラブラさせて歌いながら歩いて行く。
「人生、楽ばっか~苦はねぇさー♪」
「んにゃ、にゃ♪」
なんとなくミゥも付いて行くようだ。
「ボディガードはミゥで充分だな…」
「必要なのでござろうか?」
「よね…
街の雑踏を生首ぶら下げて歩く
「俺も、ちょっと…抜けるぜ、夜には戻るからよ…」
ベンケーも別行動を取るようだ。
「承知した」
「んじゃ後でね~」
ヒトミが呑気に手を振ってベンケーを見送る。
王都を出たベンケー、湖のほとりへ向かう。
焼け落ちた元竜王の城、湖面に時折大きな影、影がうねると湖面が波を立てる。
「そういえば…アレ、ほったらかしだったな…」
お金にならない…そんな理由でリーフがほったらかしたウォータードラゴンである。
「まぁ…案外、無害なら無益な殺生は
湖の見える、見晴らしのいい場所に腰を下ろして
「ここいらでいいか…」
懐からボロボロのローブを引っ張り出す。
ハデスが纏っていたローブである。
「首は嬢ちゃんが持っていかなきゃなんねぇし…骨も残っちゃいねぇしな…まぁ、形だけだけど…勘弁しろや…なっ」
土を軽く掘って、ローブを埋めた。
適当な石をドンッと置いて、軽く石を小突く。
「名前は彫らねぇぜ…祈りもしねぇ…まぁたまには、顔を出すさ…気が向いたらな」
置いた石に、安い飲み残した酒をトプトプッと掛けるベンケー。
「一緒に酒を飲むことも無かったな…兄貴」
そっと呟いて、ベンケーは王都へ戻った。
「まぁ、色々と後味の悪い仕事だったけど、お金になれば
「にゃんぱい!!」
リーフの掛け声で宴会が始まる。
「考えてもしょうがないからね~」
ヒトミがワインをラッパ飲みする。
「そうだ!! とりあえず無事に酒が飲めた、そのことを喜ぼう!!」
ベンケーがラム酒をジョッキに注ぐ。
「クロウ!! 黙って手酌なんてしないで、
リーフがビシッと端で独り酒を煽っているクロウを指さす。
「芸でござるか…」
皆の視線を一身に浴びて15分後、クロウが見せた芸は…
『ドジョウすくい』であった。
「にゃははは」
ミゥが真似して踊り、とても楽しそうであったが…
「なかなか斬新な伝統芸ね…興味あるわジパング…」
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