第三章 そして伝説へ編

第57話 Souvenirがゴイスー

 問題は解決していなかった。

 ミゥの昔話をにゃーにゃー聞きながら、崖下でたき火である生首囲んで

「泣いていいのか…笑えばいいのか…判断に難しいラインの話だったわね」

 ヒトミの感想である。

「本人、笑ってるから笑っていいんじゃない」

「にゃははは」

 ミゥはハデスの生首爪で傷だらけを転がして遊ぶことに飽きたようで、今はコウモリを狩ることに飛ぶ物に反応するのは生い立ち夢中である。

 なんとなく『お母さんワイバーン』に似ているのかもしれない。

「降りるのは簡単だったんだけどね~」

 リーフが『オーク燻製』をブチッと噛み千切りながら首を傾げる。

(嬢ちゃん…落ちるの間違いだろ…)

 ベンケーは黙って聞いていた。


「そもそも…ココで暮らしていた人達は、どうやって来たんだ?」

 ベンケーが串焼きにしたオーク燻製を食べながら疑問を口にした。

「そりゃ…落ちてきたんじゃ?」

「行きはよいよい…帰りは…でござるな」

 ヒトミ、クロウが悩んでいる中、リーフは黙って考えていた。

(登れないものはしょうがない落ちて来たんだから他人がどうしたとか関係ない信者がどうやって来たか?今さら助けてくださいなんて言えないハデスの首晒しながら闊歩してきた今日は寝ようどうしようもない)


 夜が明けて…

「おい…アンタら…おい!! 道の真ん中で気持ち良く寝てるんじゃない!!」

「ん?」

 ヒトミが寝ぼけながら声の主をボーッと眺める……焦点があったヒトミ

「馬面ね」

「ヒヒーン」

「そりゃ馬だ…」

「んぁ? どちら様?」

「俺ぁ…商人だ、行商に行くんだから、早く退いてくれ」

「ん…クサっ!!」

 顔の横に馬糞が落ちて…目を覚ましたベンケー。

「あぁ…馬の足を止めるからだぁ~」


「ウルっさいのよ!! 臭っ!! 臭っさいのよ!!」

 寝起きの悪いリーフ…クロウが商人から話を聞くことに…

「なるほど…」


「どうやら…この先に崖上を行き来するゴンドラがあるようでござる…」

「なんてことでしょう…」

「にゃんてことでしゃう?」

 リーフが大袈裟に驚いて見せる。

「崖下で馬車もレンタルしているとも…言っていたでござる…」

「苦労して森を抜けて崖を降って辿り着いた地は一般人でも気軽に入れる場所だったのです…」

「のでしゅ!!」

 歯磨きしているリーフとミゥを恨めしそうに見ている納得いかねぇ…ってのヒトミ。

「軽く朝ごはん食べたら、行きましょうか? ねっ」

「ねっ…じゃねぇよ、オマエが生首、晒して歩かなきゃ、帰れたんじゃねぇか!!」

 ベンケーがリーフを睨む。

「バカね…地図を見ていたのはクロウとヒトミじゃない、私は関係ないわ、むしろ被害者よ」

 言い争うベンケーとリーフをなだめるように割って入るクロウ

「まぁまぁ…帰れるのだから良いではござらぬか」


カロリーフレンドフルーツ味』をボソボソ食べながら歩くリーフ達。

「この苦味とボソボソがいいのよね~」


 崖上の土産物屋では、ご丁寧に『観光MAP』まで売られていたという…

「次は誰を狩ろうかな?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る