第52話 Helperがゴイスー

「みゃう…」

 もはや疲れて眠いだけのミゥ。

 一番、人形ゴーレムに体力を奪われたのは彼女である。

 非常に疲れている。

レドブル体力回復』は掛けてあるのだが、睡魔とは別物なのである。

 リーフの横で『ほっこりスェット』をクピクピ飲んで、足元で丸くなっている。

 コンディション万全とは、お世辞にも言えない3人の愉快な仲間達ベンケー・クロウ・ヒトミ

(ポテンシャル半分ちょい…)

 ヒトミが冷静な自己分析を行う。

 そんな中、ベンケーがズイッと前に出る。

 ガランッと『スプリガンのメイス』を右手で引きずるように持っている。

手出し無用…でござるな男のタイマンに水は差せない

 クロウが構えたショーテルを背中に戻そうとする。

いや…援護…よろしく全力でお願いします!!」

 ベンケーの言葉に迷いはない。

「友情って…育むものよね第三者目線

 リーフが思わず涙ぐむ。

 ミゥの大きな目からも涙が零れる、アクビが止まらないのだネムネムの限界をブレイク寸前

がんばるにゃ~ちょっと寝たら手伝うにゃ


「ベンジャミン、オマエが俺に勝てたことなど1度でもあったかな?」

「さあな…」

「数名の手助けで、その差は埋まるのか?」

「さあなー!!」

 ベンケーが力任せにメイスをハデスの頭部目掛けて振り下ろす。

 小柄のハデスがニヤッと笑い、メイスを片手で受け止める。

「軽いな…」

 クルッと手首を返して、メイスを捻り、左手でベンケーの逆関節をパシッと決める。

「グッ…グガァ…」

 ベンケーの顔が苦痛で歪む。

 クロウがハデスの脇腹をショーテルで引き裂こうと水平に構えて走り込む。

 同時にヒトミが逆手に構えたダガーでハデスの足を止めようと低い姿勢で突っ込む。

(もらった!!)

 ヒトミのダガーが空を斬り、その腕をハデスが足で踏み抜く。

(胴が、がら空きでござる)

 ショーテルがハデスの身体に触れる前に、ハデスがベンケーからもぎ取ったメイスで防いだ。

「3人でコレか? 埋まらないな、力の差は」

「どうだ『カー』!!」

 ハデスの身体を火球が襲う。

「ギャァー!!」

 ヒトミが頭の上で燃え上がる火球に驚き叫ぶ。

「グッ…」

 ハデスが3人を振り払い、後方へ下がる。

「お釣りがくるんじゃない?」

 リーフがニタッと笑う。

「力で勝てねば魔法か…」

「受けてくれんでしょ」

「当然だ」

 リーフの目が殺る気で満ちている。

「待てや!! 嬢ちゃん」

「待たないわ!! アンタ独りで来たわけじゃないでしょ…アタシも、アンタの得た『ちから』なのよ」

「ゲッ?」

 意外な人物唯我独尊リーフから意外な言葉無駄にいい言葉を聞いて、思わず変なトコから変な声が出たヒトミ。

 意外な顔の一同の視線を浴びて、満足げな自己顕示欲リーフ。

「強大なね…グフフフ…ギャハハハハ」

 およそ正義の味方とは思えぬ笑い声顔に似つかわしくない下卑た笑い声


「来いよ…全員でな、ベンジャミン」

「ふんっ…遠慮なく」

 ベンケーが徒手空拳に構えを変えた。

 ヒトミとクロウも再び剣を構える。

「にゃむ…」

 目を擦りながらミゥが目を覚ました。


「第2ラウンド開始よ」

 リーフがニヤニヤと笑う。

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