第50話 Creditがゴイスー

「Oh…Oh…」外人のノリでオッオー

 何かマズイことをしたかと悟ったミゥ。

「………ハッ? おじゃまします?か…にゃ他人の家にあがるときは

「違うわ…」

「間違えたのかにゃ?」

「別にまちがいじゃねぇだろ…」

「そうかにゃ」

「遅いか早いかの問題でござろう」

 背中のショーテルに手を掛けるクロウ。

「待ちな!! ヤツは俺が…」

 ベンケーがクロウの肩を掴み、扉へ歩を進める。

「いいのでござるか?」

 立ち止まることなく広間へ入って行くベンケー。

「まぁ…約束だからね」


 クロウとヒトミに『レドブル体力の回復』を唱えて顎で続けと促す無言の圧力

 ミゥはベンケーに付いて行ったようだ。

(打撃が2人ベンケー・ミゥ剣技が2人クロウ・ヒトミ…まぁ序盤は大丈夫ね)

 すでにベンケーを『僧侶クレリック』と数えていないリーフであった。


『竜王の杖』をクルクル回しながら、階段を上がり、広間を覗くと…

「やってる、やってる…というかヤラれてる?」

 ハデスを中央に4人の神官が、それぞれを相手に奮戦中である。

 旗色は悪い…

 中央のハデスは一心不乱に何事か詠唱中、邪魔させまいと神官が足止めを任されている…

「…と言ったところね…」

 リーフが杖を正面に構える。

 竜王の杖が妖しい気を放つ。

「ぶっつけ本番!! とりあえず『ドー』!!」

 左足の踵で石床をカーンとタップするリーフ。

 バカ共が暴れて、とっ散らかした神殿中央の大広間『召喚の間ミゥが蹴り飛ばした扉に彫られていたようだ

 そこら中に、砕かれ散らばった加工された石柱、床の破片がハデス目掛けて飛んでいく。

地味に凶悪な土魔法若干、竜王の杖でVer.威力強化、喰らえ大神官!!」

 リーフがニタッと笑う。

 気付いた神官が盾になるようにハデスの周囲にサッと集まり『ドー』を受け止める。

「バカな…加工石の飛礫つぶては150Km/秒を超えるのよ『土』初級魔法、周囲の土砂をアホみたいな速度でぶつける…」

 と軽い説明と驚嘆の言葉を口にするリーフ。

 ガクッと膝から崩れ落ちる神官達。

「そうでしょう? そうなるでしょう!! バーカ、バーカ」

 野球のボールでも当たれば致命傷になりかねないのに、ヘルメットも無し、しかも全身で受け止め無傷でいられるわけはない一瞬、たじろきはしたが…

「嬢ちゃん…手出しは無用だ…」

 片膝付いて言うセリフじゃないがベンケーがリーフを制止しようとする。

「あん? そういうセリフは予想済みなのよ、だから足を出しましたお約束の屁理屈

 ローブを捲って白く細い左ふとももをピシャッと自慢げに叩く自慢の長い足リーフ。

(なるほど…)

 思わずヒトミが頷く。

 なぜか神官に押されていたミゥが、すかさずトドメに入ろうと飛びかかる。

「猫まっしぐらにゃー!!」

 斬り裂いたローブの下からドロ人形が姿を現す。

「なるほど…人形ゴーレムだったのかい…」

 ヒトミが納得したのか表情が和らぐ。

「動きが止まらぬわけでござるな…人形とは」

「疲れ知らずの木偶か…人は信用できねぇってことか? ハデスよ!!」


 一心不乱に邪神像に祈祷し続けるハデス、その呪詛が途切れた。

「信用…しているさ…破壊神『死怒シド』に捧げるにえなんだ、我を崇める信者達を誰よりも信用しているよ…決まっているだろ? ベンジャミン」


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