第49話 Fatigueがゴイスー
(迷いはねぇ!!)
迷いを払うようにバンッと右手の拳を左の掌に叩きつけてドアから出て行くベンケーにリーフが声を掛けた。
「アンタは最後尾よ」
「なんだ?」
「
「俺に迷いはねぇ!!」
リーフに喰ってかかるベンケー。
「そういうことを口にしている時点で迷ってるってこと…自分で気づいてる?」
「クッ…解ったよ…だがな」
言いかけた言葉を遮るように
「ハデスは任せるわ…対峙するまでに迷いを払いなさい」
リーフがボンッと張ったベンケーの胸筋を拳で叩く。
(解ってる…それまでに、どうするか…決めるさ)
無言で頷いたベンケーが大きく深呼吸した。
「クロウ、ヒトミ、先頭を任せるわ」
「ミゥ、誰かを見かけたら…」
「見かけたにゃ?」
「蹴り飛ばしなさい…問答無用よ」
ニコッとリーフが笑う。
「蹴り殺すにゃ」
「飛ばすのよ…殺さない…」
ヒトミがミゥを撫でながら、あやす様に念押しする。
(ホントに殺しちゃいそう…)
「モンスターには無いけど、人間には人権ってもんがあるのよね~」
面倒くさそうにリーフが呟いた。
(無ければ殺るのだろうか…)
その呟きが聴こえたヒトミがリーフのほうを恐る恐る振り返る。
(なんか笑ってるよ…怖いわ、あの
ある意味、
「不公平よ…」
リーフがボヤく気持ちも理解してあげたい。
だだっ広い神殿のソチラコチラから奇声を上げて飛び出してくる信者の皆様を、殴り…峰打ちし…蹴り飛ばしながら、御一行はハデスの元へ急ぐのであった。
ハデスが待っているであろう大広間の手前の大階段の中腹…
「片付いたのかしら?」
リーフが額の汗をグイッと拭う。
「普通に戦うより数倍疲れたな…」
ベンケーが肩で息をしている。
先頭で信者を裁いていたクロウとヒトミは、もはや声を発しない。
無駄に
「さて行くわよ」
ドアを開けようとするリーフ。
「
ヒトミが
「なによ」
「にゃによ」
リーフとミゥが這いつくばるヒトミを見下ろす。
むんずっ、両手でローブを引っ張ってヒトミを
「無理だから…今は無理だから…」
もはや涙目である。
「リーフ殿…頼むでござる…休憩を…」
「なんなの? アレですか?
「
ミゥがガンッと蹴り開けてしまっていた…
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