第48話 Reverseがゴイスー
「今すぐ壊してやろうかしら…」
間違いなく救世主とは崇められることは一生涯無いであろう賢者がボソリと呟いた。
だだっ広い神殿、その来賓室も立派なものである。
当然のように各自に部屋が割り当てられたのだが、
「今すぐはやめて頂戴…今、食事中だから」
ヒトミがナイフとフォークをカチャカチャと忙しなく動かしながらリーフを諌める。
「そうだぜ嬢ちゃん、とりあえず今は食おう」
ベンケーがモリモリと食事を口に運ぶ。
「よく食べれるわね…
ピタッとクロウとヒトミの手が止まる。
(考えもしなかった…)
「そういう奴じゃねぇよ…」
「どうだが…言う割にはビビッてたんじゃない?」
「誰がだ?」
ベンケーがリーフを睨む。
涼しげな目で、その向けられた怒気を受け流すリーフ。
「やめるでござるよ」
パスタをすすりながらクロウが割って入る。
「アンタ…器用に食べるわね」
すするという行為が苦手な御一行のなかで、クロウだけは異様に麺類を食べる速度が早い。
「国でも
「あっそう…」
窓際で独り、オーク肉の燻製を食べているリーフ、どうにもハデスの
ミゥがリーフにケーキを持ってきた。
「食うかニャ?」
「うん…食べる」
んにゃっと笑って尻尾を振るミゥの頭を撫でるリーフ。
(さて…どうしてくれようか…)
夜通し考えた結果…
「
初志貫徹。
「
その通りなのであるが…
「反対よ」
ヒトミが目玉焼きに塩を振りながら反対した。
「拙者も…気が進まんでござるな」
醤油を掛けながら目を閉じるクロウ
「んにゃん」
ソースをドボドボと掛けて笑うミゥ、まさかのウスターである。
「どうしてよ!!」
リーフがタバスコをアホ程掛けて怒鳴る。
「嬢ちゃん…ハデスと話しをさせてくれ…それからでもいいだろ?」
コチラもアホ程マヨネーズを使っているベンケー
減塩とは無縁の朝食を終え、ベンケーが部屋を出て行った。
「アレを見なさいよ」
ヒトミが街を指さす、
「ウソでも笑って暮らせる世界があるのよ」
「嘘なんでしょ…解ってるじゃないの…ちゃんと」
「……だから壊すの?」
「だから壊すのよ!!」
クロウはヒトミとリーフの口論を黙って聞いている。
ミゥは部屋の隅で丸くなっていた。
しばしの無言が続き…
ベンケーが戻ってきた。
「虚構の裏だ…」
一言、そう言ってベンケーは戦闘の準備を始めた。
「何を聞いた…」
クロウがベンケーに尋ねた。
「いや…見たのさ」
少なめの言葉で悟ったようにクロウがショーテルに手を伸ばす。
「綺麗な嘘の裏は…比例して汚いものよ」
リーフがヒトミの肩をポンッと叩いた。
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