第46話 Smileがゴイスー

 結局、木にロープを括り付け、時間を掛けて降りてきた3名。

「遅いわよ!!」

 苛立つリーフに怒鳴られる。

 イライラしたリーフが『カー』だの『コー』だの下から邪魔したせいでもあるが、待つことは嫌いなリーフ、どうにもチンタラと降りてくる連中に腹がたった。

「アンタのせいで余計に時間が掛かったのよおっしゃること、ごもっとも!!」

 ヒトミがリーフに噛みつく。

「何よ、最初は、あんなに早かったじゃない転がり落ちたからあの要領蹴り落とされた降りれば落ちれば良かったのよ!!」

ふりだし崖の上』~『あがり崖下』まで快速で進めるのだが蹴り落とされるあがる手前の5マス「6」以外ではあがれないが全て『ふりだしに戻る』のような、小学生が悪ふざけで頭の悪さが滲み出た作った『すごろく』をやらされた感のあるヒトミの精神的なダメージは大きかった。

 死ぬ思いで辿り着いたのにある意味奇跡的に、まさかの緩やかに戻されようとは…しかも途中で呪い発動宙吊り状態でである。

(戻れるものなら…あの夜に戻りたいなんでコイツの部屋に入ってしまったのか)

「もたもたしないで行くわよ」

 ヒマを持て余し、自分だけは元気なリーフ充分休んだし、24時間ヒール発動してるし仲間には容赦ないそうではない人の気持ちは解らない


 下から見上げ改めて神像の大きさに驚く御一行。

「しかし…どう見ても、慈愛に溢れた神を祀っているようには思えないわね」

 ヒトミが正直な感想を述べる。

「邪神丸出しね…隠す気がまったくないあたり、ある意味、いさぎよし!!」

 リーフが天晴といった顔で頷く。

「で…どうやって入るんだ嬢ちゃん?」

「決まってるでしょ……ごめんくださ~い」

(まさかの挨拶方式でござるか?)


 開くわけも無い巨大な門…

「ベンケー!! 任せたわよ」

 アッサリと引く切り替えは早いリーフ。

「………」

 一同の期待と視線を今、希望に変える。

 スーッと大きく息を吸い込んで、大きな声で元気よく、

「ハ~デっスく~ん」

(まさかの小学生方式でござるか?)

「みゃはっ」

 ミゥが思わずパッと明るい表情になる。

「みゃー!!」

 扉に向かって嬉しそうに鳴いてみるミゥ。

「アンタ、バカなの? は~いとでも言って門が開くわけないじゃない!!」

 ヒトミがベンケーを睨む。

 数秒の沈黙と静寂…

 ギギギッと音を立てて開いちゃった門。

開くじゃねぇかドキドキしたぜ…」

開いたわねまさか開くとはね…」


 扉の向こうから数人の神官が歩いてくる。

「絵にかいたような神官だな…おい?」

 ベンケーが、たじろぎ呟く。

「なんかね~嘘くさいのよね~」

 リーフが気にいらないという表情を露わにした。


 近づいてきた神官は笑顔で恭しくお辞儀して

「旅の方ですか? ハデス様をお尋ねのようでしたので、お迎えにあがったのですが」

「応!! お尋ねだ、ベンジャミンが来たと伝えてくれよ」

 ベンケーの表情は、完全に、これからケンカする顔である。

「くれにゃ!!」


「かしこまりました…」

 ベンケーの横柄な態度にも、笑顔は崩さぬまま、スッと手で招き入れる神官達。

(余裕…それとも?)

 リーフの脳裏に嫌な考えが過った。

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