第45話 Cliffがゴイスー

「なによコレ…」

 素魔法音スマフォンが示す場所には、谷を利用し石を削り出して造った神殿があった。

 驚くべきは、その広さというか巨大さである。

「こういうのもいいわね」

 リーフは真顔で呟く。

 驚いた後、すぐに事態を摂り込むことができる器の大きさは、さすがの一言である。

「一応聞くけど、これからココに攻めていく形になるわけだけど…躊躇ためらいとか恐怖は感じないの?」

 ヒトミが呆れたようにリーフに問う。

「無いわ」

 キッパリと答える。

 当然、無い胸を張りだして踏ん反り返る、いつものポーズで自信満々胸以外はなのである。

「さ~て…どうやって降りるのかしら?」

 30mほどの断崖絶壁、どうやって降りるのか…というリーフの疑問はごもっともである。

「そもそも、どうやって降りて、どうやって造ったんだよアレ」

 ベンケーが指さす、禍々しい神像が左右に並ぶ、壮大な神殿。

「古代文明、遺跡、謎ってロマンを感じるわお宝ありそうで大好物~」

 ヒトミが身を乗り出して下を覗き込む。

 そっと、ヒトミの後ろに回り込み、軽くつま先でトンッと突いてみるリーフ。

「ンギャ…」

 四つんばいのヒトミの手の先からパラパラと土が下に落ちた。

「そういう冗談…やめてくれない…」

 青ざめた顔でヒトミが振り向く。

「冗談じゃないんだな…これが」

 リーフがニタッと笑って、ヒトミを蹴り落とした。

「えっ…ギャァァァー」

 手足をバタつかせながら、滑り落ちるというか…転がり落ちていくというか…いい具合に加速して落下していく。

「見なさい、馬鹿が4つ脚で降りれるなら…行けないことはないわ」

どこかで、by義経聞いたことがあるような…ないような…」鹿も4つ脚、馬も4つ脚、ならば行けないことはない

 ズシャッ!!

 流石というか、身のこなしは天下一品の盗賊、なんとか無事に着地したヒトミ。

(死ぬかと思った…実際、数秒間で幾度か死にかけたわ…)

「大丈~夫?」

 リーフが上から一応確認する。

ギリギリよ!! バカ女!!」さすがにココまで呪いは効かないようだ

「そうしたら、このロープを腰に巻きつけなさい」

 上からロープが降ってくる。

「なんだってのよ…巻いたわよー」

「うん…さぁ行くわよ」

 ロープを自分の身体に巻いたリーフ、間に木を経由して…ヒョイッと崖から飛び降りた。

 適度な速度で落下していくリーフ…せっかく降りたのに命がけでまた上がって行くヒトミ、丁度、体重の釣り合う高さでピタリと止まる。

んぎゃぁぁぁあああー今度は届く位置で呪い発動

 微妙にヒトミの方が下にいるヒトミの胸の重さ>落下速度

「ミゥ、こっちにいらっしゃい」

「にゃ…お空を飛べ…」

「飛ばなくていいから、走ってくるのよ」

「にゃ」

 ミゥがリーフの所まで降りてくるこの程度の断崖なら苦も無い

 適度な速度で着地リーフ+ミゥ>ヒトミしたリーフとミゥ、また上に戻ったヒトミ。

「なるほど…滑車というわけでござるな」


「早く降りて来なさいよー」

 下からリーフが急かす。

「まさかの自分だけかよ…」

 ベンケーが呟いた。

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