第42話 Fatigueがゴイスー
「南無阿弥陀仏!!」
ザンッ、クロウのショーテルが影を引き裂く。
「オン・バザラ・タマクカン・ヤシャ・ハーン!!」
シュッ、ヒトミのダガーが横一線に影を斬る。
「にゃむ…にゃむ…ニャー!!」
ミゥの爪が影を斬り裂く。
「うん…うん…なんだろう…納得いかないわ…」
リーフのみ、やる気スイッチがオフの状態で20分ほど…
「疲れたわ…手応えは無いし、
ヒトミが肩で息をしている。
「まるで素振りをしているようでござる…」
「ふにゃ~…退屈にゃ」
ミゥだけは退屈そうである。
ノロいゴーストに触られるような種族ではない。
つまりユラユラ動くナニカで遊んでいる感覚、飽きるまで続けられるようだ。
残念ながら飽きてきたようではあるが…
「そう…コレは精神力の削り合い…」
最もな顔で呟くリーフではあるが、誰よりも何もしていない。
(にしても…不思議ね…)
爪を噛みながら周囲を見回し、気配を探る。
本来、ゴーストは群れで襲ってくることなど、まず考えられない。
基本、思念が中途半端に実体化して、その形態の維持に生者の体力を求めて彷徨うだけの存在、集団行動などあり得ない。
大量虐殺でもされた土地、あるいは城内では数体が彷徨うことはあるが、群れるような習性は持ち得ない。
(それがなぜ…これほどの数が集まるのか…)
「誰が…何処から…」
それ以前に、これだけのゴーストを集めたとは考えにくい…
(おそらく…)
リーフが奥歯をギリッと鳴らした。
「終わったでござる…」
最後の1体を地に沈め、その疲労から無言のまま夜が明けた。
「何してるの?」
目を覚ましたヒトミがパチパチと小さく音を立てているキャンプファイヤーの残り火の前に正座しているベンケーに声を掛ける。
「いや…俺は一応、僧侶だからな…」
そう言うとスッと立ち上がって残っていた酒を火に注いだ。
「そうね…そうだったわね」
いつの間にか後ろに立っていたリーフが残っていた酒を全部ぶちまけて火を消した。
「鎮魂…ってやつよ」
ニコッと笑ってベンケーを見るリーフ
「だな…」
荷物をまとめて一同は歩を進める。
「昨日は、皆、頑張ったから、ご褒美よ」
「疲れた時には甘いモノね、やっぱり」
「にゃー」
ヒトミがコロッと口の中でキャンディを転がす。
カリカリといい音を立てて噛み砕くミゥ。
「ところで…拙者の
リーフがぶちまけた酒…
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