第41話 Bare handsがゴイスー

「ゴースト?」

「幽霊よバカね!! ンギャァァァアー」

 リーフがヒトミの豊満な胸を鬼女の形相で指さす呪い発動

 バカにヒトミバカ扱いされると不愉快になるリーフ、躊躇なく呪いを発動させる高速の反射神経拘束だけに…は半端ない。

「ゴーストですって…」

 ようやく本題に辿りつくリーフの思考まずはバカ呼ばわりしたバカに躾を施す

「厄介ね…」

 実体のないゴースト種の類はアンデッドとは違った面倒くさい、厄介な相手なのだ。

 この手の化け物に強いのが僧侶なのだが、腕組みしながら何やら考え込んでいるいつもなら飲んだくれているベンケー。

(ゴーストだと…)

 通常の武器を受け付けない存在であるゴースト種が相手では、ミゥ、クロウ、ヒトミは戦力外、頼れるのはリーフとベンケー2名だけで相手をしなければならない。

(ロションじゃ無理だわ…)

 即座に戦力分析を終えたなにせ引き算だけの戦力計算リーフの表情は険しい。

「リーフ殿…」

 クロウがジリッとリーフに近寄る。

 気付けば、キャンプファイヤーを中心に綺麗に囲まれていたのである。

「思えば…昼間何も出ないあたりから警戒すべきだったのよ…それをバカみたいにココに居ますよ~と、これ見よがしに火柱キャンプファイヤーおっ立てるから、集まってきちゃったのよ~」

 ヒトミが最後に『バカ』と言いかけて口を閉じた。

(危ないわ…またやらかすとこだった少し学習したようだ…)

「おぉおぉおぉぉぉぉ…」

 何やら怨念めいたうめき声が障壁のごとくリーフ達を取り巻いている。

「うかつに動けねぇな…」

 ベンケーが呟くと同時に毛を逆立てて威嚇していたミゥが黒い人影のゴーストに飛びかかった。

 斬り裂かれた影は一瞬ブワッと舞い上がるように闇夜に溶け、すぐに元の人型に戻りフラフラと動きうめき声をあげる。

 シャッとすぐに飛び退いて戻ったミゥの身体が小刻みに震えている。

「気持ち悪いにゃ…寒いにゃ…」

「接触すると、体力を削られるわよ…」

「先に言えばいいじゃない」

 リーフへのヒトミの悪態やっぱり学習出来ないチキンヘッド、ジロッと睨まれ、反射的に胸を隠すように両手で覆うそんなことでは呪いの発動は防げないが

「ベンケー殿…」

 クロウがベンケーの方を見る。

「あぁ…解っている…この手の相手にどう対処すればいいかくらいな」

 スッとローブを脱ぎ、ピチッとした蛍光ピンクのタンクトップとスパッツ姿になる筋肉ダルマ。

「行くぜ!!」

 正面の黒い影に向かって突進するベンケー

「天に召します我らが神よ…」

 何やら晩御飯の前のような祈りを大声で叫ぶベンケー

「アーメン!!」

 ゴウッと影を地面に叩きつけるように唸りをあげるベンケーの拳。

 ビターンッ!!

 濡れた雑巾を床に叩きつけたような音と共に、影が地面に吸い込まれていく。

「うっしゃ!!」

 力こぶを誇示するようにピシャンと叩くベンケー。

「気合だー!!」

(えぇ~)

 一同、唖然であった。

「そうなの?…気合でナントカなる相手なんだ適当に祈ってぶん殴って…知らなかったアタシともあろうものが

 本の知識などアテにならないものであるとリーフは、しみじみ頷いたという。


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