そして2章再開 悪霊の神々編 引き続きお楽しみください。

第39話 Thoughtがゴイスー

 酒が抜けきらないヒトミが項垂れている朝、御一行は『魔王 大神官ハゴン』討伐にエントリーして王都『ラージサムタクスクソ高い税金』を後にした。


「今度は迷うなよ嬢ちゃん」

「大丈夫よ、私、地図見るのやめたから」

 今、地図を見ているのはクロウとヒトミである。

 異国から旅してきたクロウ、色々地図は見てきているであろうヒトミ、最初から任せておけば苦労はなかったのだ。

「西が右手で東は左手ってわけじゃないのよね~」

 不思議そうに首を傾げるリーフ

「ないのにゃ~」

 真似して首を傾げるミゥ

「その理屈で行ったら…あぁなったわけかい隣の城まで野宿で1週間…」

「ドンマイ、私」

『めげる』とか『くじける』とかいう言葉はリーフの辞書にはない断言できる

 基本ネガティブなワードは存在していないのだ。

 得てして魔王という生き物は、ポジティブ且つアグレッシブな行動力本気で己の能力で世界を支配ようなどというバカげた思考と自らのねぐらから出ようとしないネガティブな思考例外なく日籠りという意外に控えめな生活、この相反するモノを奇跡的に同居させたモノこそが辿り着く、選ばれし者の職業なのかもしれない。

 その魔王というやからを狩りに出向くという勇者なる職業は、救世主ではなく、ただの性悪なのではないか?

 リーフいじめっ子魔王を名乗る者いじめられっ子の家に出向く姿を目の当たりにした気分のヒトミは思うのである。

「ボヤボヤしてないで出発よ胸だけ女ヒトミのこと

海鞘ホヤだけ捨てないで酸っぱいよ胸毛だらけ皆? ……なんのことかしら?」

 相変わらずの聞き間違いのレベルが段違いのヒトミであった。

「行くっつってんだよバカ乳!!」

 ヒトミの足元で『カー』が弾ける。

「うぉっ!!」

 ブツブツ言いながらミゥの後ろを歩くヒトミ。

(勝手に逝けっての…独りで好きなだけ逝きまくってろっての…)

 ジロッと先頭を歩くリーフが振り向き

「ぎゃっぁぁぁああー」

 ヒトミの胸を指で指す呪い発動

なんとなく勘なんだけどムカついた悪口を言われた気がした…」

 恐ろしい女である。


「ところで…リーフ殿、ハデスを選んだのは…」

「ん? なんだか…イケそうな気がする~からよ」

「イケそうでござるか…」

「そう、勘ね」

 竜王の杖をクルクル回しながら陽気に歩くリーフの姿、改めて…恐ぇなと思うなにか知ってるんじゃ…ベンケーであった。

「ウフフフ…楽しみね」

 ニコッとベンケーに笑いかけるリーフ、もはや人の思考すら読めるんじゃないかと疑いたくなる笑顔であった。

(この嬢ちゃんなら、何でもアリだな…)


 地図も読めないクセに先頭に立ち、歩く姿…普通なら体力のある順とかに並びそうなものだが…本来、最も後列向きのリーフ賢者が先頭でズンズン歩いて行くのである。

「リーフ殿…そっちじゃないまあまあの方向音痴でござるよ」


 リーフは好き勝手に歩いて行く、ミゥは興味を抱いたモノにまっしぐらに走って行く、まとまりなどありゃしない。


「つくづく…足が向かねぇな~今回はよ…」

 ベンケーが大きなため息を吐いた。

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