閑話休題 リーフの生い立ち編

第36話 Birthがゴイスー

 リーフは捨て子である。

 身体中に契約の証がタトゥーのように刻まれている。

 一緒に風呂に入ったヒトミの話によると…

「普通の魔法と違って精霊と契約しての魔法はね、威力がダンチ段違いなのよ」

 とピシャリと細い足を叩いて微笑むリーフが怖かったそうである。

 右腕に『火』

 左腕に『水』

 右足に『風』

 左足に『地』

 の契約が刻まれている。

 むろん、契約を破れば、四肢は引き裂かれにえとして精霊に捧げられるわけだが…『自身のためだけに使う』という非情な条件は、リーフの性格上わがまま全開、大した問題ではないようだ。

 ちなみに『キズバン』などの癒し魔法は僧侶クレリック並み、特に契約で強化とか考えていないので、誰にでも使用可能である。


 棄てられていた辺鄙な村では、こんな魔力の塊みたいな美少女、持て余されて当然である。

 拾った(発見しちゃった)村に住むカヤックさん(男)当時67歳は…

「いや~雨の日に、赤子の鳴き声が聴こえたっけ、村の外れにある御神木まで見に行ったんよ、そこに光に包まれた赤子が…」

 それがリーフである。

「いんやたまげたっけ、村長さん家に連れて帰ってさ、相談したさ」

 その結果が、面倒くさそうなので…

「教会の赴任したてのシスターに預ける押し付けることにしたんさのぅ~」

 育ての親シスターは語る怖いので声は変えてあります

「はい、あの夜の事は忘れられません無かったことにしたいけど

 持ち込まれた赤子厄介は、溢れる魔力を制御しきれてないようで、駄々漏れた魔力が赤子を護るように包んでいたという。

 驚くべきは、誰が施したのか…生まれつきなのか、その首筋には『癒しヒール』の印が刻まれており常時、癒し呪文が掛かっている状態常に魔力を消費しているわけで…であったこと。

 包まれていた生地は高価なもので、金の刺繍で『Leafless・Teamaker』と縫われていた。

 常時『癒しヒール』が掛かっているせいか、すくすくと無駄に大きくなり縦に伸びて、魔力と共に尊大に育っていくのである。

 癒し呪文はシスターに習ったものだが、攻撃呪文は書物から勝手に学び、王都通信教育で基礎をサラッと習得した。

 それで満足できなかったのか、禁呪にまで手を出す始末そのうち発動するでしょう…村の外れで精霊を召喚して契約を結んでからは若干12歳にして、もう手が付けられない。


 村の皆が願ったものである。

早く出てってくれないかな~強制的かつ自主的な上京

 そして…旅立ちの日…

 皆は涙したのである歓喜と安堵が抑えきれない


 その後…見事に削り取られた御神木、村長の家から消えた宝石諸々…

「そんな、あの子リーフの後始末を、一手に17年引き受けてきたのですもはや涙声…」


 こんな村では良い男もいない…

「私の17年を返してください!!」


 そんな思いを背中に背負って、立身出世を目指す。

 それが美少女賢者『リーフレス・ティーメィカァ』


「今後ともよろしく」

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