第35話 Lizardがゴイスー

(ここか!!)

「くらえ、デリロション局部ヌルヌル!!」

 ベンケーが竜王の足裏にデリロションヌルヌルヌル~ンを唱える。

 ヌルンッ

 前のめりに走る竜の姿勢が祟り、思い切り顎を床に撃ち付け倒れる。

「チャ~ンス」

 ヒトミがニヤッと笑い、竜王の背後に回り込み、死角から目玉をダガーで突き刺す。

「みゃぁー」

 ミゥの爪が反対の目玉を両手で交差させ斬り裂く。

 視界を奪われた竜王、デリロションの効果もあり、思うように起き上がれない。

「クソどもがー!!」

「クソとは拙者のことか? 竜の王よ…」

 チャキッと『薄緑うすみどり』を構える。

「飛燕!! 連斬!!」

 空気を斬り裂くように刀を幾度も振り抜くクロウ。

 ヒトミとミゥが左右後方に飛び退いた瞬間、その鱗を斬り裂く飛ぶ斬撃の連斬。

「ガァ…ァァァ…」

 ゴプッと切り口から赤い血が溢れ出て床を朱に染めていく…

「クククッ…地に伏せた王…無様よね、ん? 血に伏せたのほうが正しいのかしら」

 リーフの冷笑、それは美しく…恐ろしい悪魔の微笑。

「死ね…」

 一言、呟くように…薄い唇から吐息のように漏れる死神のため息。

「踊れ!! 狂気の円舞曲ロンド暴炎ボーエン』」

 右腕からゴウッと炎が立ち上がる。

「シギャァァァァ」

 甲高い声で次々と飛び出す、炎を纏うトカゲ『サラマンダー』

「キャハハッハ、燃やし尽くせ!! サーラマーンダーーー!!!!!」

 先ほどの冷笑とは打って変わって、狂ったように笑うリーフ。

 飛び出した無数のサラマンダーは竜王の身体の至る所に噛みつき喰らいながら体内へ侵入していく。

「止めろーーーー」

 響く断末魔は、身体の外から、内から燃やされていく竜王の叫び、あるいは願い…

 周囲に焦げ臭い匂いが立ち込める頃燃えた竜王、燃えてる魔王の城には、竜王は絶命していた。

 ツカツカと屍に近寄り、大きな黒焦げの頭をズムッと片足で踏んづけ、踏ん反り返ってポーズを決めるリーフ。

「なに?」

「はぁ?」

 ヒトミの問いにリーフが答える。

「サッサと写真撮って討伐証拠写真逃げるのよ、急いで!!」

 素魔法音スマフォンでカシャッと撮れば…

一同、撤退宝は忘れるな!!」


 湖のほとりから燃え落ちる魔王城を繁々と眺めるリーフ御一行。

「終わったのね…」

 ヒトミが呟く

「いえ…始まるのよ…土地の買い占めから…」

 リーフが夕日にニタリと笑う。


 とりあえず、壮大なキャンプファイヤー鎮火す気配が無い魔王の城をバックに、ささやかな慰労会である。

「嬢ちゃん、最後のアレは?」

「ん?サラマンダーのこと?」

「あぁ…アレは召喚魔法だよな」

「そうよ」

 ベンケーの問いにサラッと答えるリーフだが『召喚魔法』なんて滅多に見れるモノじゃない。

「オメェ…何者なんだ?」

「私は、ただの天才美少女賢者リーフレス葉っぱの無いティーメィカお茶屋さんァ…よ♪」

 素魔法音スマフォンでササッと討伐完了の通知を送るリーフ。

(これで一週間後には口座に入金される懸賞金♪)


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