第33話 Auraがゴイスー

「おいおい…なんだよ…こりゃ」

 ベンケーが驚き、のんびりとメイスを構えるコイツもクロウのことなど気にしてない

 セリフの割にはヤル気満々な顔つきのやはりバーサーカーベンケー。

「言っただろ、魔力を凝縮したのが、この身体だと」

「その反動が、この魔法の威力だっての」

 リーフはフンッと鼻を鳴らして踏ん反り返る貧乳のクセに胸を張るの悪い癖

「……魔力を解放したら?」

 ヒトミがボソリと呟いた。

「大きくなるでござるか?」

 隣でうずくまっていたクロウには聞こえたようだ。

「むむ…そんなの許せないにゃー!!」

 自分より小さな生き物仮にも魔王が実は大きいとかいう許容しがたい情報を得たミゥが毛を逆立てて威嚇する猫VS竜

「本来の姿になどならずとも…お前等ごとき障害にはならぬわ居城の火事の方が大問題らしい

 ニタニタと笑う縦割れ頭その名は竜王(笑っていられるほど火の回りは甘くない)

「ごとき…だぁあ?」

 ごとき呼ばわりに眉間にシワが寄るリーフ、人生で、その他大勢分類されることには慣れてないというか、我慢できない派である。

 そのオーラ…いや魔力が駄々漏れてるのか、錯覚か、何やら気を纏ったように紫の光に包まれるリーフ。

(怖ぇ…)

 思わずへ2歩下がるベンケーリーフ>魔王

 その形相は『修羅』

「親に逢いては親を斬り…立ちふさがれば悪魔を斬る…神に逢うても叩き伏せるワガママ全開、修羅動まっしぐら!!」

「ソチの前に立ちふさがるのは、神でも悪魔でもないわ!!」

 竜王が再び杖を構える。

「じゃあ親? まさかのお父様?」

 ヒトミが驚く。

「違うだろ…あの頭に顔…似ても似つかんだろ」

 ベンケーがヒトミを飽きれた顔で見ている。

「魔王の娘…拙者、納得でござる」

「よね?」

 ヒトミとクロウの思いが今、合致するあの性格に、この所業、在り得そうで怖い事実

 騒ぐ外野を他所に、俄然、魔力を練っている様子の両者。

 予想される被害は甚大だただでさえ火事なのだ

 威嚇に疲れたミゥがシタタタッと竜王の背後に回り込む。

(大きくしてはいけないにゃ…)

「猫がお空を飛んでるにゃー」

「えっ? まさか?」

 思わず天井を見るヒトミ。

 高い天井にビキニアーマーを纏った猫娘が飛んでいた…すぐ落ちてきた。

 竜王の頭頂部目掛けて…

「猫の本気キッ~ク!!にゃー!!」

 アホのような脚力、上半身に比べ、やたらと発達している下半身から繰り出される容赦のない一撃が、杖を正面にかざし、集中しきっている竜王の頭部に決まる会心の一撃

 石の床にめり込んだんじゃないか?ってくらい竜王が倒れ込む。

「これで安心にゃ…小さくなったかにゃ?」

 ふぅーと一息ついて、額を拭うミゥ。

 一同唖然である。

「この…バカ共がー!!」

 腰を押さえて杖で辛うじて中腰まで立ち上がった竜王。

 大きな丸い目が赤く光っている。

「もう…燃え落ちる城俺の家などに興味はない…すべて破壊してやるやっぱり被害甚大…全てだ!!」

 竜王の身体チッコイを黒い妖気が包み込む。

「竜王の真の姿…見せてくれるわー!!」

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