第32話 Spellがゴイスー

下へと続く隠し階段から焦げ臭い匂いが立ち込める。

黒い煙が上ってくる…

「おい嬢ちゃん、結構、ヤバイ感じで火事になったんじゃないのか?」

ベンケーがリーフを『やっちまったな』という目で見る。

「そのようね、私の魔法の威力は私の想像以上のようだわ…やだ…自分の才能が怖い」

すました顔で大袈裟によろめいてみせたりするリーフ。

「怖いにゃ」

ミゥが真似してよろめいたりする。

その三文芝居を3バカが唖然とした顔で眺める。

「ガフッ…ごぶぅ……」

部屋の真ん中で、ついにオロトロスが息絶えたようだGoGo 大霊界


「おぉ…ペティよ…なんて無残な死に様…」

後方から嘆くような声が聴こえる。

「ゲッ!! その縦割れた頭…見たことあるわオリジナリティあふれるヘアスタイル…」

ヒトミが驚く。

「竜王…」

リーフが呟き、ニタッと笑う。

「このチッコイのが?」

ベンケーが驚く、そう竜王とかいう名なのに…ビックリするほど小柄だったのだおよそ130cm

「ミゥ殿といい勝負でござるな」

「にゃむ…」

隣にシタタッと並び手で背を比べるミゥ。

「ミゥのほうが大きいにゃ」

フンッと胸を張る。

割と立派な胸である。


「なにしに来たのよ」

踏ん反り返ってリーフが竜王に尋ねる。

こちらは真っ平な胸である。


「何しに? オマエ…人の家魔王の城に入ってきてよく言えるな、どういう教育受けて来たんだ?」

「呼ばれた覚えはないわ」

「当然だ!! 呼んだ覚えはないのだから!!」


間の抜けた会話に何とも言えない空気が周囲を優しく包み込む。


「まぁアレだ、魔王の城なんてもんわだ、出入り自由の公衆便所仮にも魔王城みてぇなもんってことだ」

「違うわボケ!!」

竜王が背伸びして叫ぶ、小さいくせに声は低い。

「私が言ってるのわ、なんで部屋でおとなしくしていられないのかってことよ…不満だわ」

リーフが大きなため息を吐く。

「どうしてだぁ? オマエだろ!! 部屋で待機してりゃ一応待ってはいた、煙が充満してきてだなぁ!! お前等が来る前に煙に巻き込まれて焔のおかげ…せい?死にそうになったんだよバカ女リーフのこと!!」

リーフがヒトミを見る。

「違うと思うわ、アンタのことよリーフ…んぎゃぁあぁぁあ」

夜叉の形相でヒトミの胸を指さすリーフ色々と腹が立った、バカとか胸の大きさとか…

「しかし…こんなチッコイのが竜の王とは…マッハ情けない」

ベンケーが竜王の縦割れた頭を撫でる。

「身長は問題じゃないわ…」

リーフがチラッとミゥを見る。

「にゃ?」

「チッコくても強いもんもいるわ」

「左様…この姿は魔力を凝縮した姿…逆に、これ以上は小さくなれん」

竜王がバシッとベンケーの手を払う。

「へぇ~、凝縮するのに縮んでんだ~」

リーフがバカにしたように鼻で笑う。

「ククク…口で言っても解らぬバカ揃いよの…では身体で知るといい」

紫のローブをひるがえし、杖をクロウに向ける。

「骨まで焼かれろ!! 『魔火マカー』」

杖の先から黒い火球が放たれる。

クロウはショーテルを交差させて直撃は防いでいる…が、ダメージは大きい。

暗黒呪文ダークネス・スペル…」

リーフがギリッと歯ぎしりした。特に助けようとか思わなかった。

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