第30話 Voiceがゴイスー
ジッと腰の刀を見つめるクロウ。
複雑な思い、胸中穏やかではない。
(ココで抜けませんでしたー、とかなったら…どうなるのでござろうか…)
チラッとリーフの方を見る。
「アヒャヒャヒャヒャ」
楽しそうに笑いながら『
(言えない…自信が無いなんて言えないでござる…)
オルトロスを中心に四散する氷の
(怖い呪文だわ…拷問レベルね)
壁際で飛んでくる氷を避けつつ、ヒトミは思った。
そして、
引き換え、ミゥは楽しそうである。
なんか避けることを遊びと勘違いしているようだ。
「にゃははは 猫はお空をとべるにゃー」
(飛べないわよ…)
「ちょっとクロウ!! さっさとちょん切ってよね!!」
「ちょん切るでござるか…」
「サクッとやっちゃいなさいよ」
ショーテルを背中に収めて…腰の刀に手を掛けるクロウ。
(頼む…)
キチッ…
鞘が緩んだ。
(覚悟はいいか?)
「なに?」
クロウの頭に声が響く…低い声が…。
(我が名は…そうさな『
「かたじけない…」
思わず声の威圧に気圧され、刀に礼を言ってしまうクロウ。
(拙者が傍らに置いてもらう…のか?)
「まぁいい…『
クロウの手中で妖しい光を放つ妖刀『
タンッと地を蹴り、オルトロスの首を間合いに収めるクロウ。
「
シャオン…
空を斬り裂く音が刀の軌道より一瞬遅れて聴こえる。
チンッ、鍔鳴りが
「んにゃん…」
人より耳の良いミゥが
残る右側オルトロスが怯えたように横目でクロウを見ている。
完全に戦意を失った目だ、出来るなら腹を見せて降伏していたであろう…
残念ながら四肢は砕け、肉は飛び散り、あげくに身体のほとんどは氷漬けのオルトロスには無理は話であった。
これでも生きているのだから生命力は桁違いである。
「動物は嫌いじゃないでござるが…」
呟くクロウ、言葉とは裏腹に、その目は恐ろしく冷たい。
再び刀に手を掛ける。
「ソプロション!!」
オルトロスの下敷きになったベンケーがヌルンッと滑り出てきた。
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