第27話 Threatenedがゴイスー

「さて…かき集めるのよ」

 数分間の沈黙をアッサリと破ったのは貧乳美少女上の下リーフである。

「気持ちを切り替えていくわよ、労せず宝をゲットしたのよ、これは幸運なの」

 なんとも後味の悪い幸運である。

 己の存在理由…いや産み出されたものが『竜王のポエム』という名の深夜3時のラクガキだったとは…

「僕の涙色…ブフッ…」

 思わず思い出して笑いだすリーフ。

 素魔法音スマフォンで竜王の顔写真著者近影を見て、また吹き出す。

「ダメ…ツボだわ」


 部屋中の宝をかき集めて、3バカに渡す。

「しっかり守るのよ、命に代えてもねお宝>3バカの命

「御意」

 もはや、この女リーフには逆らえないのだと、何となく、根拠は乏しい絶対の上下関係覆ることは無いを受け入れた3バカである。

「さて…次は~」

「俺だな…」

 ベンケーが残る2つの扉の前に立つ。

「行くぜ!!」

「ちょっと待った!! 宝を置いて行きなさい絶対死守するという強い心

「はいはい」

 スプリガンの部屋他人の家の故人の部屋で、くつろぐ仲間、バンッと扉を開ける音がする。

「なんでぇ…武器しかねぇ…」

「充分じゃないの、適当に装備整えていくわよ目ぼしいモノ盗むわよ

「なんだかなぁ~、ビシッとしたモンはねぇなぁ~」

 ベンケーがブツブツと文句を溢すモンクだけに

「拙者…刀が欲しいでござる」

「持ってるじゃない」

 ヒトミが腰の刀を指さす。

「いや…コレは…なんというか…」

「抜けない名刀より、抜けるなまくらのほうがいいわよね…確かに…」

 リーフがボソッと嫌味を言う。

 カタッ…とクロウの腰の刀が小さく鳴った。

「娘…抜けない刀とは随分な評価を下してくれたな…」

 低い声が聴こえる。

「あん?」

 リーフの眉間に深いシワが刻まれる。

「どした?」

 部屋に置いてあったナイフを掌でクルクル回していたヒトミが突然、声を発したリーフに尋ねる。

「今…だれが喋った?」

 リーフが凄むようにヒトミに尋ね返す。

「何言ってんの? 誰も話しかけてなんかいないわよ、何? 霊的なナニカ? やめてよ怖い」

「霊…ゴースト…」

 クルッとベンケーの方を見るリーフ。

「フホホ…コレ貰っていこう」

 なにやらスプリガンの持っていたメイスを取りに行って喜んでいるベンケー。

(仮にも僧侶が感じないのならゴーストじゃない…)

「オホホ、程よい重さだなコレ」

 ブンブン振り回して笑っているベンケー。

(アテにならないけど…一応、僧侶なのよね…)

「抜けない名刀ではない…抜くのに条件が必要な妖刀だと解釈せよ」

 声は、もう一度リーフに語りかけてきた。

(アタシだけ…に聴こえる?)

 周りを見回しても、愉快な仲間達

 誰にも聴こえていない宿主クロウですら…ようだ。

「条件が必要な妖刀…面倒なことには変わりないわね…」

 チラッと声の主を理解したリーフがクロウの刀に視線を移しボヤく。

九郎義経クロウ・ヨシツネは気に入ってるのでな…少しは協力してやるがな、飽きるまでは…ククク」


 声は途切れた。

(このクソ刀も厄介者らしいわね…)

 チッと舌打ちするリーフであった。

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