第26話 Catalystがゴイスー
「妖精だっての? あの髭のゴツくて小さいのが? 大分イメージが…ね…」
濃紺のレオタードに着替えたヒトミが
「オメェ…そりゃ偏見ってもんだぜ」
ベンケーが呆れた顔をする。
「拙者も驚いているでござる…羽が生えて小さき少女が妖精かと…」
「だよね~、コレは無いわ~」
思いっきりスプリガンを指さして存在を全否定した。
「お前等…死ぬ覚悟は出来てんだよな」
大型のメイスをブンッと振り抜くと、空気が揺れる。
「色々いんのよ…妖精にもね」
リーフが
スプリガンは不敵に笑う、自分が負ける気などミジンコほども考えてない顔だ。
「妖精の国ってあるの?」
リーフがスプリガンに尋ねる。
「はぁ? シラネェな!!」
「ふ~ん、アンタ、何処から来たの?」
「……あん?」
「知らないでしょ、教えてあげるわ、アンタ達、
スッとリーフが右手を前に差し出す。
「なんだってんだ?」
スプリガンの表情が強張る。
「でかしたわ…ヒトミ」
「ん?」
何のことか?といった顔でリーフをキョトンとした顔で見返すヒトミ。
「カメレオンの腹で、アンタの背中に張っついていたコレがアンタの触媒…」
ニターッと悪魔のような顔で笑うリーフ。
リーフが右手でヒラヒラさせた、小さな手帳。
タイトルが書いてある『竜王のポエム』
胃液でベトベトの手帳をペラペラと器用にめくるリーフ。
『湖に映る、僕の目にも映る青色、青って何色?空色…水色…違うよきっと僕の涙色…』
「………」
「にゃむ?」
部屋に静けさが漂い始める…。
『壁にそっと掌をあててみる、冷たいね…でもね、触れていれば、いつか少しだけ温かくなるよ、冷えた心も、ほら触れていれば、いつかきっと…』
「………」
「にゃはは」
もう耐えられないほどの空気、ベンケーが背中をガリガリと掻きはじめた。
「触媒は、契約者の想いが強ければ強いほど効果を上げてくるのよ…つまり、このポエム集は竜王にとって…」
「言うなー!! それ以上言うなー!!」
スプリガンが重いメイスをゴトンッと床に落として頭を抱えて跪く。
「もう責めてやるな…コイツは悪くネェ…」
ベンケーが憐みの視線をスプリガンへ投げかける。
「リーフ…燃やしてあげて頂戴…」
ヒトミがリーフの肩をポンッと叩く、その目は、もはや涙目である。
手帳をポンッと床に落として一言
『
小さな声で火球を飛ばして燃やす。
「あぁぁぁぁ…」
何を思い消えていくのか…
その声…その目に、僕らは何て語りかければ良かったのか…
かき消すように消えていく
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