第23話 Luckがゴイスー

 ヒトミが悲しそうな顔でコチラを見ている。

 ドナドナが流れて来そうな悲壮感を漂わせている。

 ゆっくりと両手で×を作った。

 思わずコクリと頷くリーフ。

 シュッと、どす黒いピンクの触手がヒトミの身体に巻き付いた。

「あっ」

 思わず声を上げるリーフ。

 そのまま部屋に引きずり込まれるヒトミ。

「天に召します我らが神よ俺は破戒僧だけど召されるヒトミ・ルイアィすでに死んだ体で?の魂に永久とこしえの安息を与え…」

 肝心なところで噛むベンケー。

安息を捥ぐって安息を取り上げた?アンタ…ほんっとうに僧侶失格正確には僧兵ね」

「だから、俺は破戒僧戒律破りなんだって」

「悪魔にでも祈った方が効果あるんじゃない?」

「今度試してみるか?」

「ぜひ、そうして頂戴案外、戦力増強


「で…どうするでござるか?」

「いや…どうもこうも…」

 ベンケーが通路を指さす。

 部屋からノシッと現れた巨大なカメレオン3mくらい尻尾いれたら5m

「触手じゃなくて舌だったのね…」

姉ちゃんはヒトミ、じゃあ喰われたんじゃねぇのか?」

「丸のみでござるか~」

「じゃあ生きてるかもね」

「ナイフをお貸しくだされリーフ殿」

「ん?」

 言われるがままにクロウにナイフを渡すリーフ。

「任せるでござる!!」

 タンッと一足飛びでカメレオンとの距離を詰める。

(裂く気…大丈夫?)ヒトミごとズバッ?

 シャッと脇腹を掠めるように逆手に持ったナイフが音を立てる。

「なに?」

 カメレオンはズズズと姿を消す。

「同化しやがった…」

 ベンケーが舌打ちする。

「手応えがない…」

 クロウが不思議そうにナイフを見ている。

スライムを纏っているのよ共依存関係…あのカメレオンバカデカい、明らかに誰かに飼われているわね」

「飼われる…カメレオンだけに色も変われる…なんてな

 また、ベンケーの脇腹にリーフの拳がめり込むベンケー。

「誰でござる?」

 クロウが部屋の中に向かって話しかける。

「他人様の部屋のドアを勝手に開けて誰とはご挨拶だな、おい」

 姿を隠したカメレオンの事もあり、再び部屋から距離を置いて構えるクロウ。

 ベンケーも先ほど、ちゃっかり壁に掛けてあったトマホークを左右に構える。

「アンタ…ホントに僧侶クレリック?」

「僧兵だ!! 2:8くらいで…」僧侶2 戦士8

アイツは声の主任せていいわね」

 ニヤリと笑いかけるリーフ。

「あぁ、もちろんだ、ペットの方は」

「任せて頂戴!!」


 部屋から出てきた小人身長120cmほど

 ずいぶんとがっしりした体躯に似つかわしくない大きさのメイスをポンポンと軽々と扱っている。

「ドワーフ?でござるか…」

 ベンケーの隣まで戻ったクロウが呟く。

「違うな…ありゃスプリガン財宝の番人だぜ」


「マジ? お宝確定じゃない」

 リーフの瞳に輝きが宿るきっと輝く金色


 その頃…カメレオンの体内で鼻を摘まんで息を止めているヒトミの意識が限界を迎えていた。

(死ぬ…死にそう…限界よー)


 丸のみされたヒトミのことなど、ポーンと忘れて財宝>ヒトミの命、スプリガンが守っている財宝に夢馳せているリーフであった。

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