第22話 Pencilがゴイスー

「どっちに行こうかな~」

 2階にある左右の扉、どっちかは当たり、どっちかは罠だと相場は決まっている。

 と…リーフは決めつけている。

 なぜなら…1階に扉は3つあった。

 1つは氷浸けのトカゲ男、もしくは女リザードマン♂♀の区別は難しいで塞がれた、

 1つはミゥが切り裂いたゴブリンの死体の山で塞いだ。クロウとベンケーが一生懸命塞いだ

 1つはリーフの『ホムラ』が通路とモンスターを燃やしている無数の炎蛇が這いまくって、とても行ける状況現在も大火事ではない。

「2択ってわけよ」

 リーフがビシッと左右の扉を両手をTの字に広げて中央で踏ん反り返る。

 時折、1階からモンスターの苦悶の声がエコーを効かせて聴こえてくるあたり、1階という選択肢はない。

ホムラ』で召喚された炎蛇は視認した対象の全てを倒すか燃やし尽すか、リーフの魔力が途切れない限りつまり半永久的に消滅はしない。

ゆっくり悩んでる時間は無いのよきっと城は焼け落ちるであろう

「フハハハハ、2択なら俺に任せな嬢ちゃん」

 ベンケーが懐から取り出した鉛筆。

「鉛筆?」

 ヒトミが首を傾げる。

「ほう、葵の紋、徳川鉛筆でござるな」

「おう、鉛筆は徳川製って決めてるんでな」

「異国の地で、徳川鉛筆を見るとは…懐かしいでござるよ」

「で? まさか転がすんじゃないでしょうね」

 リーフがキレそうな目でベンケーを見る。

「いくぜ!!」

 ベンケーが構えた、6角形鉛筆の尻の方には〇×が交互に書かれていた。


 扉を開くと、冷たい空気が流れてきた。

 暗い通路の先に上がる階段が見える。

 その左右に扉が2つ…計4つ。

「よし、別れるわよ」

「なに? なんで?」

 ヒトミがリーフを驚いた表情で見た。

「全部の部屋が罠ってことはないわもちろん根拠もないが、ひとりづつ開けていくわよ」

「そういうときは、この…」

 なにかを出そうとしたベンケーの腹にリーフの拳がいい角度でめり込んだ。

「あみだくじで決めるわよ」


「最初はミゥね」

「ココを開けるのにゃー」

 右側奥の扉を迷わずガンッと開ける。

「どう? なんかある?」

 躊躇なく入ってガサゴソ、ガチャンと大雑把に荒らしている音だけが通路に響く。

「大丈夫そうね、あの部屋は後で調べるわよ火災で燃え落ちる前に…なんか金目の物があるかもしれない」

「ミゥ、戻って来なさい」

 ミゥが走って戻ってくる。

「コレ見っけたにゃ」

 リーフに差し出した高そうなブレスレット等、装飾品数点。

「まぁ、お利口さん、はいベロターズオリジナルあげる」

「にゃー♪」

 差し出した装飾品の数だけもらえたベロターズオリジナルにご満悦のミゥ。

 それをクロウがリュックに詰め込む。

「いい、死んでもソレは守るのよお宝数点>クロウの安全

「次!!」

 ヒトミが左奥の扉の前に立つ。

(嫌な予感しかしないわ…)

 ヒトミがゴクッと唾を飲みこむ。

 一応、まだしっとり濡れてる忍び装束の袖を口に当てて、そっと扉を開ける。

 ギギギッ…嫌な音を立てて扉が開く。

「あっ!! ハズレだ…」

 ヒトミが小声で呟いた。

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