第15話 Cowがゴイスー

(そもそも、ミノタウロスって迷宮にいるんじゃないのかしら?)

 ワラワラと湧いて出るゴブリン、敵も味方も関係なく暴れるミノタウロス、リーフは混戦極まる戦況をベロターズオリジナル溶けてないヤツを舐めながら観戦していた。

 時折、『カー』『コー』でミノタウロスを攻撃しているものの、頭はウォータードラゴンで一杯である。

 こちらの戦闘などお構いなしに悠々と泳いでいる。

(なんで王都の目の前で泳ぐドラゴンを野放しにしとけるのよ…)

 水から出なきゃいいってもんでもないように思うのだが、金持ちの余裕というのであろうか?

『ブゴゴゴゴー!!』

 ミノタウロスが吠え

「ぬぅりゃややぁー」

 ベンケーが吠える。

 互いの筋肉を誇示し続けるような戦いは続いている。

 そもそも5mほどの巨体に、2m弱のベンケーが筋肉を競って勝てるわけはないのだが、なぜに挑むのであろうか?

「そこに肉があるからさ」

 大きさだけではない、バランスやテカりなんかも重要な要素であるらしい。

 いつしかミノタウロスもメイスを手放して、小さきチャレンジャーベンジャミン・K身長2m弱と張り合っているではないか。

 さらに小さき者共が足元で小競り合いゴブリン身長1mVSミゥ身長1.3mしているというのに…

(筋肉ダルマ通しで解りあおうとしてるんじゃないわよね…)

 リーフの背中にゾクッと悪寒が走った。

 小さいミゥが奮戦しているというのに…クロウ身長1.6mはヌルヌルして転んでばかり、ヒトミ身長1.7mはダガーを振り回してはダボダボの服に絡ます始末100%リーフの嫉妬のせい

困った役立たずだわコイツの嫉妬のせい…」


 シタタタとミゥがリーフの所へ戻った来た。

「ん?」

「喉渇いたにゃ」

「うん…飲む?」

ほっこりスエットスポーツドリンク』を差し出すとゴクゴクと250mlを飲み干す。

「ほっこりするにゃ~」

「そうね~」

 なごんでる場合じゃないのだが…ミゥにとってはゴブリン程度は遊び相手レベルのようだ。

 悪構いして、つい殺しちゃう程度、動かなくなれば次のゴブリン蝶々♪花から花へ、で遊び疲れて飽きてきたのだ。

 ヌルヌルのクロウとダボダボのヒトミでは、ゴブリン下っ端にも手こずっている。

「困ったわ…面倒くさい…」

 時折、クロウヌルヌルヒトミダボダボが訴えかけるような目で、リーフを見てたりする。

「はぁ~、『サン』!!」

 ため息まじりに唱えた氷系魔法『サン』小さな氷の飛礫つぶてがゴブリンの頭上に降り注ぐ。

 飛礫つぶてはゴブリンの身体に張り付き、徐々に自由を奪っていく…

 残念なことに、範囲内のの自由を奪っていく…

「まさかの拙者達もでござるか…」

「痛いわ…そして冷たいわ…」

 ゴブリンと一緒に固まっているクロウとヒトミ。

 戦場のど真ん中で固められるとは…悲劇としかいいようがない。

 すぐソコで、ミノタウロスとベンケーも、変なポージングのまま固まっている。

「うぉぉおぉぉー、こんなポーズでは嫌だー!! やり直しを要求するー!!」

 ベンケーが叫び、

『ぶもぉぉおぉぉー!!』

 何を言ってるか解らないが、おそらくベンケーと同意だと思われ…

 ミノタウロスも叫んだ。

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