第14話 Watersideがゴイスー
「当面の問題はアレね…」
リーフが湖を指さす。
大きな湖に悠々と泳ぐドラゴン、その体長、パッと見でも10mはありそうだ。
蛇のように胴をくねらせて泳ぐ勇姿…
(勝てそうにねぇ~)
リーフ以外は、そう思っていた。
「シードラゴン…ってやつかしら?」
リーフが首を傾げる。
「違うだろ…シーって海だろが…ここ湖だぞ、ウォータードラゴンってヤツだろアレ」
「………よく見たら蛇だったってことないかしら?」
「蛇な訳ないじゃないの、バカなの
カエルが潰されたような声をあげるヒトミ、
「蛇なら勝てる気がするでござるな…」
「蛇ならな…蛇じゃねぇからな!!」
「デカい声出さないでよ!! 仮にも
「にゃ?」
ミゥと目を合わせたもの…ゴブリンを従えたミノタウロス。
「あっ…」
ゴブリンの悪臭に気付いて振り返ると、そんなもん気にもならない程の化け物がメイスを構えて立っている。
「いい筋肉だ!! さぞ高質なプロテインを飲んでいるに違いない」
ベンケーがミノタウロスの筋肉に惚れ惚れしている。
(
「ブゴォオォォォ!!」
身体は巨人、脳みそは牛…
「アレみたいね、子供の名探偵、身体は子供、頭脳は大人」
ヒトミが嬉しそうに笑う。
「真逆でしょうが!!」
ミノタウロスのメイスの一振りで、ゴブリン10匹ほど昇天したようだ。
「ほら、見て見なさいな、脳みそは牛並みなのよ、怪力バカなのよアレ」
「牛並みって…字で書くと美味しそうね」
「アホ…竜は後回し!! 全力で牛を倒すわよ!! 『
ゴブリンの足元から火柱が立ち上がる。
「よし、俺もいくぜ!! 『ロション』」
クロウの身体をヌルヌルが覆う。
「行け!! クロウ」
ベンケーがミノタウロスを指さす。
「えっ? 拙者でござるか…」
「抜けるといいわね…剣」
ヒトミがボソッと呟く。
「ええい!! 我は求め訴えたり…南無三!!」
クロウが妖刀に手を掛け…力を込める。
ヌルン…
「滑る…でござる」
抜ける、抜けない以前の問題であった。
「たたた…」
思わず、この非常時の醜態に顔を覆うリーフ、指の隙間からチラッとミゥを見る。
「ミゥ!! ゴブリン1匹で
ピクッと耳が動いて、尻尾がフルフルと震える。
「ほんとかニャ?」
「ほんとだにゃ…良い子だから切り裂いてきなさい、遠慮はミジンコほども要らないわ、GO!!」
ビュンッとゴブリンの群れに飛び込む猫娘。
「一騎当千でござるな、いや天晴…」
「まったくね、世話係りとして鼻が高いわアタシ」
「言ってないで、加勢しなさいよねアンタ達も」
クロウとヒトミも混戦に加わる。
「ハハハ、イケるな案外」
「
ポンッとリーフに肩を叩かれるベンケーであった。
振り返ると、リーフは鬼の形相であったという…
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