第9話 misheardがゴイスー

 買い物を済ませて、宿の窓から夜の街を眺めるリーフ。

「来るかな、来るかな~♪ おばちゃん来るかな~♪」

「みゃみゃみゃー♪」

「何が来るって?」

 風呂からあがってタオル1枚で部屋をウロつくベンケー。

「とりあえず服着なさいよバカ」

「なんで寝るのに服着るんだよ?」

「はっ?裸族? 迷惑よ!! 裸族を名乗れるのはね、神から愛された顔と肢体を持つ者だけなの、例えば私ね!!」

「そうかい…じゃあ裸で寝ろ…嬢ちゃんの裸に興味はねぇや俺ゃ…」

「はいはい…じゃあ、アンタ達、しっかり荷物を見張ってるのよ」

「見張る?でござるか?」

「そうよ」

「まぁ…買い過ぎってくらい散財したわな…」

 ベンケーは自分が背負うことになるであろう大荷物を嫌な目で見ている。

「いいの♪ それもエサなのよ…ウフフ、いい!! 盗られるんじゃないわよ!!」

「ないにょのょ!!」

 ミゥがリーフの口調と仕草を真似する。

 2人が風呂に出て行って部屋にはクロウとベンケーだけになった。

「エサってなんだ?」

「なんでござろうな…リーフ殿には、なにか目的がありそうだったが…」


 長いブロンドの髪をタオルで拭きながら浴衣で風呂からあがってきたリーフをミゥ。

「ほう…懐かしいでござる浴衣とは」

「いいでしょ、買ったのよ」

「拙者もコレを買ってござる」

 土産物屋の木刀を自慢気にかざすクロウ。

「うんうん、解るわ、中二に木刀、良く似合うわ~バカッぽくて

「そうでござるか~」

「ほめられてねぇぞ…たぶん」

「さて、アンタ達は着替えなさいよ」

「だから俺は!!」

「いいから、言うことを聞きなさい!! 」


 夜も更けて、トランプに飽きて…なぜかバカ勝ちしたミゥはベロターズオリジナルを2袋をゲットして、誰からともなくベッドへ入り…20分、窓がキィッと音を立てて開いた。


(良く寝てるわ…いい子ちゃんね)

 闇夜に溶け込まない蛍光オレンジのレオタードで現れたスタイル抜群の美女が窓から堂々と入ってくる。

(頂きま~す)

「ってわけにはいかないのよ!!」

 四つんばいで床を這っていたレオタード美女の後頭部をドカッと踏みつけるリーフ。

「ンガッ!!」

「うぇ~るカム…Myぱーティ~♪」

 リーフがにや~と笑う。

 釣られてミゥがにゃ~と笑う。

「上が透けてるマイパンティ?」

「誰のパンティがスケスケなのよ!!」


 侵入者はマヌケな問答の直後、あっという間に拘束された。

「なんでござる?」

「私がわざわざ、貧民街に出向いて、派手に暴れて、街で散財して、おびき寄せたかったのはコイツよ」

 ビシッと、踏ん縛られたレオタード美女を指さすリーフ。

「うん…俺は好みのタイプだ」

 ベンケーがこれなら納得と言わんばかりに満足気に頷く。

「煮るなり焼くなり好きにすればいいわ」

 開き直るレオタード。

「お言葉に甘えて」

 ベンケーが身を乗り出し、リーフにスリッパでパンッとはたかれる。


「まんまと喰いついてきたわね、イッラ~イクアモス、イントゥジフレ~ィム飛んで火に入るなんとやらってね

「イラつくラモスに淫靡なクリーム?」

(この女…あなどれないわ)闇夜にオレンジのレオタードって…

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