第7話 Magicがゴイスー

「容赦ねぇな…」

 辺りから焦げ臭い匂いが漂ってくる路地裏、一瞬の出来事…いや大事故である。

「拙者、抜くヒマが無かったでござる…」

「ホホホ、当然よ、優秀な魔法使いウィザードは詠唱なんて必要ないのよー!!」

 リーフは賢者ビショップ(上級職)なのだが…

 通常、魔法というのは集中力と詠唱によって効果を表す、使い慣れれば呼吸をするかのごとく発動するのだ、寝ぼけて『カー』とかも充分に可能性を秘めている。

 それが魔法を駆使する者の恐ろしい所でもあ寝てても油断は出来ないる。

 魔法使いは詠唱に入る前に仕留めるのがセオリーだ、言い換えれば懐に飛び込めれば、無傷で勝てるということでもある。

 リーフが近接戦闘系の2人を仲間にしたのは、行き当たりではないということだ。

 ちゃんと考えている…はずだ。

 クロウもベンケーも、経験値は申し分ない、先ほどの小競り合い周囲の被害は甚大も暗黙でリーフを護るようにクロウ、ベンケーが左右に別れ構えた。

 中程度魔法に詠唱を必要としない沸点が異常に低いリーフのほうが早かっただけで、彼らの動きは正しい。

 それに対魔法戦の場合は、この速度が非常に有効なのである。

 何度も言うが、優秀な魔法使いウィザードが必ずしも人格者とは限らないのだ、残念ながら…。

 むしろリーフのような人格破綻者性格の方が向いているという悲しい現実が、まかり通っちゃう不条理な世界なのだ。

「だから、この世界には『魔王』がボコボコ湧いて出てくるわけなのよ」

 パチッとウインクしてみせたりするリーフ。

 彼女とて目的が違えば、充分すぎる『魔王』の資質を秘めている。

 いや…隠し切れずに滲み出ている。

(ヒョロッとしてるけど…怖ぇ女だな…)

 何事も無かったかのように足取り軽く路地裏を歩くリーフを見て、背筋がゾクッとなるベンケーであった。

「にゃ?」

 突然周囲に火柱が立ち、ビクッとなったが、気が付けば大やけどを負って這いつくばる輩を見て、状況を飲みこめずにいるミゥ。

 フンフンと鼻を鳴らして焦げ臭い匂いに顔をしかめる。

 ハッと思い出したようにリーフが振り返る。

 大きな緑の瞳で、ジーッとミゥを見つめる。

 これまた金色の瞳を大きく開いて見返すミゥ…

「アンタ…」

「んにゃ…ミゥにゃ!!」

「ミゥ…食べる?」

 またベロターズオリジナルを差し出すリーフ。

 フンフンと鼻を鳴らしてペロッとひと舐め…程よく『エン』で暖まり少し溶けかけのベロターズオリジナルは甘くて美味しかった。

 ペロペロ…ペロペロ…カリン♪コリン♪と、いい音で噛み砕いた。

「もっとくれにゃ」

「うんうん…言うことを聞いたら、またあげるわ」

「ほんとか、にゃ?」

「うんうん」

 綺麗な顔でニーッと笑うリーフ

 可愛い顔でニコッと笑うミゥ

(レア種ゲ~ット…グフフ)


 これまでの魔法、おさらいよ♪

カー入院必須の火球を放つ。こりゃ大変、大変

エン』大けが確定の炎柱を対象の足元から発現させるまさかの足元から火あぶりにされるよ

ホムラ殺る気やるき満々の炎蛇を召喚する殺すと書いてヤルと読む

コー突き刺さる小さな氷柱を連射する。痛いし、怖いし…冷たいし…三重苦

「まだまだあるのよ♪乞うご期待!!」


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