第3話 Slipがゴイスー
「マスター、ウイスキーのプロテイン割り、生卵5個、もう一杯だ!!」
リーフに話しかけておきながら、まったく振り返らないまま、あまり飲みたくないな~という酒を頼み、煽るように飲み干している。
立派というか何というか…その背中はタンクトップがピタッと張り付き腕がジョッキを掴むと、筋肉がミチッと音を立てそうなくらいムキッとしている。
こんがりと不自然に焼けた肌はミルクチョコレートが溶けかけたようなオイリーな色を放ち、なんだか近づくとムワッとムスクのような甘い香りが食欲を奪う。
「アンタ、パネマジとはご挨拶ね」
リーフが薄い胸を張りだしてツカツカと歩み寄る。
「揉め事はゴメンだぜ…俺ぁ、こう見えても神に仕える身でね…」
「はぁ?
「誰が狂戦士だと言った…俺ぁ戦う坊さん、
「はい?」
「なんだ?」
「アンタ…癒せるの?」
「癒すぜ、金次第でな」
「破戒僧ね…」
「でなきゃ、Fカップの17歳、賢者様の仲間になんかなるかよ」
「いかがわしい目的で面接に来たのね」
「その気も失せた…その胸じゃな…」
大きなため息を吐いて席を立つ、グラスの下にクシャクシャの2000マニーを挟んで立ち去ろうとする、立つと大きな身体が更に大きく見える。
(2mくらいあるのかしら…)
「パネマジくらったんだ、チェンジで頼むわ」
「当店はチェンジはお断りなのよ、アンタでいいわ、仲間にしてあげる…躾けてからね」
「あぁ? お前さん賢者なら癒しの呪文だって使えるんだろ?」
「得て不得手があるのよ、この美少女賢者にもね」
「攻撃呪文が得意だってのか…面白い、俺を倒してみせたら、仲間になってもいいぜ…ゴフッ」
大男が喋り終わらないうちに、リーフの杖が男の股間を突きあげる。
「フフ…呪文だけじゃないの得意なのは」
勝ち誇ったように笑うリーフ。
「タタタ…とんだビッチだ…だが、もう喰らわねェ…ロション!!」
「はい?」
大男の身体からヌラヌラとした液体が溢れだす。
「なにかしら…」
「俺の得意呪文『ロション』物理攻撃を受け流す防御系呪文だ」
「へぇ~」
再びリーフの杖が大男の脛を捉える。
ヌルンッ…
謎のヌラヌラに杖の軌道を簡単に変えられてしまった。
「なに?」
「言っただろ、物理防御系の魔法だと」
ニタリと大男が笑う。
「
リーフの右手から火球が飛び出す。
「焼け焦げな!!」
「フン!! デリロション!!」
火球が当たった個所を塞ぐようにヌラヌラがベタッと張り付く。
「ハードタイプ、局部集中防御魔法だ」
「ならば!!
左手から細い氷柱がマシンガンのように放たれる。
「甘いな…ソプロション!!」
大男の頭から大量のヌラヌラが全身に纏わりつくように覆い、氷柱を絡め取っていく。
「ソフトタイプ、全身防御呪文だ」
(コイツ…キモ魔法の使い手だわ…やりにくい…色んな意味で)
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