第2話 Panelmagicがゴイスー

 王都の門番に資格証を見せて、簡単な入都手続きを済ます。

「ホワット イズ ザ パーポス オブ ユア ビジットアンタ何しに来たの?

「ふふん、ビ~ジーネェ~ス金儲け

 入都許可証をポンッと渡されて、まずは城を目指す。

 王都『ラージサムタクスクソ高い税金』この世の富が集中する場所のひとつ。

 金持ちとソコに使える連中、金目当ての連中が蠢く欲の街。

 欲の頂点こそ、そのど真ん中に位置する『ゴイスーだろ』と言わんばかりの『ヌーヴォリーシュ成金城』である。

 貴族、王室御用達の商人しか入場を許されないという差別的思想を固めて城にしたような威圧的な佇まい。

「こ~いうところに住みたいわ~」

 リーフの憧れにドンピシャの城なのだ。

「城は後々、頂くとして…まずは、酒場で仲間を探しましょうかね」

 足取りは軽く、スキップ気分で貧民街を軽快に歩くリーフ。

 当然の事ながら、ならず者に襲われるわけだが、ニタニタ笑いながら近寄ってくるならず者を軽く魔法でキャンッ言わしていく。

カー!!♪」

コー!!♪」

 通信教育でも賢者ともなると、鼻歌まじりで右手で火球を飛ばし、左手で氷柱を飛ばすなど朝飯前なのである。

 最弱の呪文でも、一般人を行動不能にするくらいの威力はある。

 攻撃魔法を使う『魔術師ウィザード』・『賢者ビショップ』は充分に脅威なのだ。

 リーフは回復魔法も使えるため、『魔術師ウィザード』+『僧侶クレリック』=『賢者ビショップ』と呼ばれるエリートさんなのだ。

 性格がコレでも資質に恵まれればエリートと呼ばれるものだ。

 社会の不文律とでも言うべきなのだろうか…与えられた能力を100%自分のためだけに傾けていてもエリートなのだ。

 それが賢い者と書いて『賢者』と呼ばれようと、そこに性格は持ち込まれないのだ。

 ペーパーテストと実技が全てだから…

「私のパーティ仲間なんだから上級職だけで固めたいわね~」

 見栄も充分に張りたい。

 上級職なんて、そうそう出会えるものではない、なぜリーフが貧民街の酒場を目指したか?

 素魔法音スマフォン(魔法石と共鳴運動を利用した、まぁ携帯電話)で思いっきり告知していたのだ。

『魔王討伐隊、メンバー募集、当方、賢者 17歳で~す』

 つり目を軽~く修正して、胸を大分修正した自撮り画像(修正済み)を載せておいたのだ。

(私の美貌と能力に釣られた猛者が荒くれ酒場に殺到しているはずよ)

「お待たせしました~私と魔王討伐に行く人、1列にならんで~ちょうだ~い」


 ざわつく、場末の酒場…

 ヒソヒソと荒くれ者の会話が耳に入ってくる。

「……パネマジ?」

「誰がパネマジだ!! チェンジきかねぇぞ!!」

 酒場にいた荒くれ者が唾吐きながら出て行く…

「どういうことかしら?」

「胸を盛り過ぎたということだろ」

 カウンターでジョッキに注がれた液体に生卵を5個落として、グビグビと一気飲みする男が振り向かないままに話しかけてきた。

「あん? なんだって?」

(あの風貌…狂戦士バーサーカーかしら?)

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