Stressがゴイスー

桜雪

第一章 竜王編

第1話 Ambitionがゴイスー

 田舎の村では神童で通っていた。

 緑と茶色が支配する風景で育ち、自分は特別な存在だと信じ切っていた。

 だからベロターズオリジナル特別な子供に与えられる飴を当たり前のように舐めて育ったのだ。

 他の子供が大切に舐めている高級キャンディを丈夫な白い歯で噛み砕き、その差を見せ付けてくれてやって生きてきたのだ。


ついに王都へ向かうのですねやっと出て行ってくれるのね…リーフ」

「はい、シスター、リーフレス葉っぱの無いティーメィカァお茶屋さん王都で魔法を極めて参ります」


 村の外れに捨てられていた私を生暖かい目で見守り、周囲の目を気にしながら当然、教会で面倒みるんでしょ育ててくれた為に行き遅れた四十路シスターに挨拶を済ます。

 リーフレス・ティーメィカァ(17歳)長身貧乳。

 歪んだ性格、口悪し、ブロンドストレート、容姿上の下、職業賢者。


「今…旅立ちます」


 白を基調としたローブ、銀色の刺繍が美しく朝日にキラめく。

 村の御神木を勝手に削り出して作らせた杖、先端には、これまた勝手に拝借した村長さん家の家宝のサファイアがキラリと、はめ込まれている。

 村を訪れた貴族からチェスで巻き上げた、ヴァーヴァリアンウェストウッド若い娘に人気のブランドのバッグを肩に掛け、目に優しい配色の村を後にする。

 バッグの中身はベロターズオリジナル特別な子供に与えられる飴が3袋(72個)と村民から餞別として、むしり取った30万マニー(1マニー=1円)、そして夢という名の野心でいっぱい。


(大きな屋敷に住んで、日替わりでホストを呼んで、富と名声、賞賛を得て周囲からゴイスーいいね連投される生活を20歳までに手中に収めるの)


 そのために、賢者の資格を頑張って取ったんだから(通信教育)

 立身出世の基本は、冒険者よ。

 モンスター巣食うダンジョンに潜り財宝を漁る。

 生活を脅かす迷惑な輩を捉え金に換える。

 国家資格の特権をMAX行使しながら覇道を突き進みたいと決心した10歳の夏、あの夏を私は忘れない。

 産まれもった魔道の資質それのみで生きていこうと誓った。

 必死で勉強して、村を幾度も壊滅させかけてまで身に付けた魔法の力で賢者の資格をもぎ取ったのだから。


「王都で仲間という名の奴隷を捕まえて、冒険に行くのよ」


 ローブのポケットから羊皮紙を取り出すリーフ

「コレよ…コレを待っていたのよ…グフフ」

 顔に似合わない含み笑い、思わず歪んだ性格が顔に滲みだす。

『魔王討伐隊募集(急募)』


 世界に何人いるか解らない魔王を勝手に名乗る輩を討伐する冒険者を募集している。

 冒険者資格持ちが金と名声を求めて王都に集まっているのだ。

 このビッグウェーブに乗らないわけにはいかない。


「世界に名乗りを上げる時は来た!! オーッホホホッ」


 王都の壁の前に品の無い高笑いが響いていた。

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