第43話 ひみつのあいどる その2

 お母さんが空想物語を止める。

「善繡お堂に案内差し上げてそちらで召し上がって頂きましょ」

「はーい、ではこちらへ」


 ブツブツ言いあってる二人と話をしない三人をお堂に招く。


「だからユーマとか人前で言わないの有りそうな話なので否定も出来ないわ」

「冗談で言ったんですけど」

「うちの親調べなかったの?出生とか血縁とか大事な事なんでしょ」

「その辺は村長でなければ分かりません、でも怪しさ200パーセントの姫様を見ていると間違いなく十六夜様の再来でございます」

「否定できないから余計腹が立つわ、でもお腹空いたから暴れない」

「そこは意見が合いますねえ」


 お母さんがご飯の支度をしている間、

「善繡お客様のお相手をしてあげて」

 私が居てもなんの役にも立てないし本堂でお話しをする。

一応お茶を出して。


 何か言わないと、

「あのう霊の事なんですが未練や恨みでこの世に留まってしまった人たちも、早く黄泉に行けば輪廻転生して生まれ変われるんです」

「やっぱねお仲間ね私たちは悪い霊を黄泉に送っているのよ」

「私はまだ見習いです、黄泉送りも神様の力を借りているので」

「神様か、私は妖怪にしか会ったことはないのよ、神様に合ったの」

「あの信じてもらえますか神様のお店でメイドの見習しているんです」

「神様のお店!そんな場所が有るの?」

「私じゃないと行けない場所だから夢物語の様なものです」

「あんた達まるっきり違うけど夢物語は共通ね」

「何言ってるのあなたも夢物語の住人の妖怪変化よ」


 言われた影丸さん「がーん」のポーズで固まった。



「ごめん余計な妖怪が割り込んできて、私はね他に妖怪の知り合いもいるの危険な方のね、割と色々教えてくれるけど安心できないわ、わたしは飲み込まれないけど君は無防備すぎるわよ」


 正面から見つめられているのになんだか私の周り全てからこの人に観察されているような気がする。

(存在感が凄い)


「えっと飲み込まれたらどうなるの」

「当然命はおしまい飲み込んだ妖怪の体が飲み込まれた者の姿に変わって今までと変わりなく生活する場合もあるの、あるいは妖力に変えられ戦いの時だけ元の姿で現れ化け物と戦わされる事もあるし」

「それじゃあ私の姿になって自分の家の戻るってことも有るの?」

「有るわよ実の事を言うと私は妖怪を飲み込んで半分妖怪になっちゃってる、色々と人と違うところが在りすぎるのよ」

「えー半妖ってことですか、そう言われたら私だって人と全然違うけど、この顔今は狐とウサギだけど誰かが呼ぶと呼んだものの顔に変わるの、お母さん困っちゃうよね」


 後ろを振り返ると少しも困った顔をしていないお母さんがお盆にお茶碗を載せて入って来ていた。


「ちっとも困りませんよ私はぜんしゅうがどんな顔になろうとすぐに分かります」

「頼もしいでしょうちのお母さん」

「ほんと私の母と正反対、たいてい邪魔者扱いされるわ」

「そんなことはないですよ、きっとあなたのためを思ってやってることです、人に頼らない生き方をしなければならないあなたのためですよ」


 姫さんちょっと渋い顔をして、

「すごいなんでもお見通しだね、これから私は一人で皆を率いていかなければならないから、姫といってもちやほやされる姫じゃないの、皆を食べさせる親鳥のようなもの、なんでしょ影丸」

「物わかりの良いお方で助かります」

「ちょっとは否定しなさいよ」

「人を騙すようなことはしてはいけないと村長が申しておりますから」

「はじめと話が違うような気がするんだけど」

「さあどうでしたか存じ上げません」

「国会答弁になってない?」

「国会って何でございますか」

「ああもう、お腹空いた」


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 食事も終わり、

「じゃあ帰ろうか、道がすいてる今のうちに」

「じゃあ善ちゃん(いつの間にか善ちゃんになっている)何かあったら電話して、困った時だけじゃなくて面白いことが有ってもよ」

「うん分かった、私はまだ遠出ができないけど除霊の水が必要になったら言って、誰かに連れて行ってもらうから」

「神の知り合いがいるとはね、私の正体を教えてほしいわそう言っといてじゃあね」


そう言って別れたけれど次に会う時には別人の様な姿で現れることを知る由もなかった。

(人の事は言えない)

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