第38話 国宝さんが死んじゃう!
「、、、えっとー」
「ごめん、痛いよねわたし、まあ気にしないで女の子に憧れるって私たちの特権じゃない、それにさあうちの学校かっこいい男子いないんだよねー、で師匠次はどうするの」
(そういう事か、私が
「三か所にお札を(お札じゃないけど)貼っているの、真ん中あたりと駅前の入り口近く」
「よーし、って気合入れても私が退治する訳じゃないな、あのキラキラしたのは何?」
さっと手を取られ手を繋いで二人並んで歩きながら、
「キラキラは見えるんだ、あれはね神様に授かった除霊の水を撒いてるの」
「かみさま?仏様じゃなくて」
「うん知り合いの神様が除霊の神様って言ってたから神様なんじゃない、姿は見せてもらえないの」
「えーそれじゃあ二体の神様と知り合いって事、、、神主の立場無いわ、巫女の私もだけど」
「私は神様と仏様の両方から助けてもらって何とか生きてるから、助けが無かったらここには居られないんだ」
国宝さん平常運転で楽しそうに、
「そうだった、善繡見てると辛い思いをしてきた人って思えないねえ」
「辛くない、わたし幸せなんだ、もう一回生きてみなさいってチャンスを与えられたんだから、それにさ今の両親とっても優しくてそれだけでも幸せなんだ」
「という事は私だって幸せなはず、、、ああ私って堕天使だわ十分幸せなのに欲に目が眩んでる、あー! 自分の事堕天使だなんて言ってしまったオタクの仲間入りだーおめでとう!」
「おめでとうって?」
「やけっぱち、高坂達のお仲間入りー」
「いや違うよ、あの人たちオタク教だからバッカみたい」
声が尖ってしまった。
「えっー五來さん何怒ってるの、何かあったの」
「んー高坂君と帰る方向が同じなんだ、たまに一緒に帰るんだけどオタクの仲間がいたら『仲間外れにされる』なんて言って逃げていくのよ、そんなにコソコソしなくてもいいじゃない、って怒ってる」
「まさかそんな関係、、、いいなあ私も引っ越そうかなあ、そうだぜんしゅうっちに泊めて」
「う、うん良いけど時々ね」
「やったー幽霊出るかなあ」
「出ないよ、居ないもん」
「えっ出ないの居ないの」
(説明面倒だから適当に)
「おじいちゃんが魔除けのお札を貼っててその効果か分からないけど全然見ないよ、真夜中でも空気が澄んでいて気持ちいいし」
「てさ君は半分幽霊みたいなものだから飛ばされちゃだめよ、居づらくなったら何時でもうちにおいで、ボクの嫁にしてあげる」
「あああ、この年でプロポーズされちゃった、私もり、璃子、ちゃんちに泊めて貰おうかな」
「うーーーやったー婚約したも同然ね、璃子ねちゃんはいらないから」
「はあ璃子だね」
(やっぱりお泊り止めよう)
次のお札を目指していたら興津姫が何かをした髪の毛が怪しい気配を捉えるその後直ぐに、
「わあ」
嬉しそうな声を上げる璃子ちゃん。
「なに?」
「居る居るゾロゾロ」
「まだいるの朝で終わったと思ったのに」
「化け狸も残ってるしね、居ったー!」
「ほんとだ化け狸もまとめて送る、静かにねなるべく気付かない振りして」
璃子ちゃんは両手で口を押えた。
(気付かれないうちに)
何気ない素振りで近づく、狸の霊たちはお札が気になるのかお札に群がっているが大狸だけは少し離れ、私たちを見ていた。
(気付かれていた!)
さっと水鉄砲を大狸に向け直ぐに噴射、他の霊は消えていくが大狸は消えない。
大狸は私に向かって飛びかかってきた、すかさず璃子ちゃんがさっきの
お経を唱え水鉄砲を噴射させようとしたら大狸はスッと消えた。
「やった消えた!」
大喜びする璃子ちゃん。
「違う消え方が変、多分逃げられた」
「えっキラキラに包まれてたけど?」
二人で回りをきょろきょろ探る、するとお札に群がっていた霊が次々と消えている。
「あいつやっぱり姿を消しただけみたい他の霊を連れて行こうとしている、えっ」
璃子ちゃんまで姿が見えなくなっていた、ほんの一瞬で。
周りを見ると景色が変わっていた、濃い霧に包まれ全てが乳白色で左腕を何かに掴まれている、さっきまで私の腕を掴んでいた璃子ではないモノが。
横に居た璃子の代わりに吐き気がするような嫌な気配に変わっていた。
振り払おうと思ったが思いとどまった、大狸が璃子に覆い被さっていたら振り払った瞬間璃子は憑りつかれどこかへ連れ去られるかもしれない。
(どうする)
ほんの一瞬悩んだが頭の中で水鉄砲を真上に向けて噴射するイメージを繰り返す。
何度目か噴射したときフッと霧が消え元の商店街の景色に戻った、左腕を掴んでいるのも璃子だった。
でも。
「璃子」
反応がない、続けて「璃子璃子」肩を抱いて体をゆすってみても全く反応しない。
目は開いているが瞳が動かない瞬きもしない。
璃子を抱きしめる。。。
何の反応もない息さえ、、、(息が止まってる?うそ!)
抱いたまま璃子を仰向けに地面に寝かせ顔を近付け息の確認をしようとしたらほっぺたが不自然にもこっっと動いた。(何?)
顎を掴んでゆっくり口を開けてみる、水みたいなものが口の奥へ入って行った、もっと口を開いてみるが何も見えない。
手を放しても開いたままの口の奥めがけて除霊の水を噴射、1秒2秒、鼻からぬるっとしたものが流れ出た、それに向かって水を掛け直ぐにポケットからハンカチを出して顔をぬぐい、璃子の顔を横に向けた。
璃子の口からドロッとした水あめみたいな液体が流れ出てきた、これが璃子の鼻と口を塞いでいたに違いない。
流れ出た物に水を掛け璃子の口元に顔をすれすれまで近づけても息が感じられない。
「璃子璃子」
体をゆすっても反応しない。
(璃子が死んじゃう!)
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