第21話 再び悪夢が。。。

 朝目を覚ます嫌に明るい、時計を見ると十時を回っていた。


 やっぱりお母さんの部屋で寝かされたいた。

「お母さん、学校」

 間に合うはずもない諦めて布団の中から聞いてみる。


 台所の方から声がした。

「お休みしますって連絡しておいたよ、昨日帰って来たら玄関で眠ってしまうんだもの、びっくりしたわ」

「あっごめんなさい、山の中を探検してたの、大丈夫だよ、か、神様が案内してくれたから」

 思い切って神様の事を言ってみた。


「おや、神様に出会えたのかい、すごいわねえ善繡は」

「出会えたって言うか声だけだよ、元気になる木の実がある場所を教えてくれるって案内されたの」

「でも悪いモノも居るのよ、人の世じゃない所に連れていかれてしまうよ」

「わたしには分かるの、神様と仏さまとただの霊と悪霊の見分けが付くの、もし間違っても私に付いてる神様が追っ払ってくれるの」

「善繡は色んな体験をしてきたからね、神様が助けてくれたんだね」

「私を眠りから覚ましてくれたのはお母さんなんだよ、お母さんが仏さまになって私を黄泉の国から引き戻してくれたの、目を覚ました時に目の前に居たのは仏さまの姿のお母さんだった」


「善繡、、、」

 お母さんに優しく抱き包まれた、やっぱり仏さまだ、私の頭に極楽の情景が浮かぶ。

 でも極楽より今居る場所がいい、お父さんとお母さんそして不思議な場所、狐横丁があるこの場所が私は好きだ。


「お母さん私が狐横丁に行くのが心配?」

「そうね、でも会社に行くようになって上手くやって行けるかな、と思う気持ちと同じかねえ」

「わたし信太しのださんにお願いされたの、お店を手伝って欲しいって、今のアルバイトだけじゃなくて学校を出たら後を任せたいって」


 お母さんが私をくるっと回して真正面で向かい合う。


「あらもうお仕事のお話、そうねえ良いかも知れないけどただ私たちが行けない場所だからねえ」

「おかあさん、わたし狐横丁を復活させたいの、そうしたら昔みたいに皆が行ける場所になる」

「そうかい、それは楽しみだねえ」

「うん待っててね、それでね昨日の神様にもお願いされてるの、お願いって言うか私の、、、穢れが有るんだって、だから一週間通えば洗い流せるって、流しておかないといつかそれに捕らわれてしまう、自分でも感じているの」


 しばらく間が空いた。

「信太さんだったかね、その人は付き添って貰えないのかい、迷惑だろうけど」

「あっ、そうだそうする、実はねあの人健康そうに見えるけど時々辛そうな時が有るの、もしかしたらだけど効果が有るかも知れないから誘ってみる」

「それならお母さんも安心、信太さんに会える日が来ればいいねえ」


 学校は休んだけど午後から家を出た、休みなれてる者(私)の特権、「そういう時も有る」で済ませてしまう。


 喫茶シノダに着いて、

「信太さん浄化の滝に行きましょう」

 私から誘ってみた、信太さんは起きてはいるもののパンパンの体で「ふう」とため息をつき、

「そうね、今のうちに行っておいた方が良さそうだわね」

「(木の実の)効果は無かったんですか」

「有ったわよ、滝に行く元気を貰った、って言うかキメラに付いて行きなさいって事の様ね」

「えっどういう事ですか」

「体重を落とすには滝に行きなさいって興津姫おきつひめのお達し、行かない訳にいかないわ」



 二人で滝に打たれ帰るころには信太さん心持ほっそりとなった気がする。

 勿論来る時にタヌキさん達に食べ物(人が食べる物で良いらしい)を渡して帰りは如雨露じょうろで通り道に浄化の滝の水を撒く、昨日私が穢れを持ち込んだ汚れを流すため。


 それで七日間通えと言われたんだ、多分。

 そしてこの如雨露、不思議な事に水を撒いても撒いても水がなくならない、良い調子で水を撒きながら帰っていると急に重く大きくなった。


 昨日私が落ちた場所。

 背筋にゾクリゾクリと悪寒が走る、昨日より大きく口を開けた裂け目に引き込まれそうになるが膝をついて姿勢を保つ。

 気が付けば周りの景色が暗くなって草も木もない荒れた野山になっていた、信太さんの姿も見えない。


 やばい、また引きずり込まれてしまうかも!

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